見出し画像

職務設計の中核的五次元【読書ノート】心理学的経営

最近の通勤時間、Audibleで、
『起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』
を聴いていました。

優秀な人材を集め、圧倒的当事者意識を持たせて、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉の下、がむしゃらに前進していくリクルートという組織が、創業者である江副氏が会社を離れた後も、変わらず飛躍し続けていることが、とても興味深い内容でした。

そして、この本を聴き終わった後、あらためてリクルートの大沢武志さんが書いた『心理学的経営』に目を通した時、下記部分が目に留まったので、書き留めておきます。

◆職務設計の中核的五次元

仕事のなかで満たされるべき人間的要素、そしてそれが満たされることで仕事への内的動機づけが高まる職務の要素を、ハックマンとオールダムは職務設計の次元として整理している。
これが「職務設計の中核的五次元」といわれるもので、職務特性理論としてなかなかよく整理された解りやすい枠組みとなっている。

・・・

これらの五つの職務次元、すなわち技能の多様性、課業のまとまり、仕事の有意義性、自律性、そしてフィードバックが職務設計の中核的五次元といわれているものである。

注意すべきは、ハックマンとオールダムによれば、これらの職務次元のどれを高めても、内的動機づけを高める効果がない場合があるという点である。それは、当人の能力と技能が著しく低い場合、あるいは当人の成長への欲求が弱い場合、また当人が現在の給与や作業条件などの環境条件に不満をもっている場合であり、これらの追加要因を配慮しなければならないという。

心理学的経営 p.37-39

『技能の多様性』『課業のまとまり』については、組織デザインにおける垂直分業と水平分業の在り方によって調整できます。

そして『自律性』『フィードバック』については、目標設定を明確にし、プロセスには介入しないことで実現可能です。

『有意義性』については、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」にも表れていますが、前述した『起業の天才!』の中でも、既存の価値観を自らの事業で変えていくという有意義性が随所で感じられました。

『起業の天才!』と『心理学的経営』の2冊を読むと、
実践と理論、具体と抽象を行き来しながら、

「人間を大事にする」=「個性を尊重する」

に挑戦し続けているリクルートという企業が浮かび上がるようでした。

個人の求める価値と組織の目標とをいかに統合するか、多様化した個人的な価値を受け入れ、あるいはそれらを積極的に生かすことを前提に組織のあり方を考えるのが、これからの経営の方向であることは間違いないことである。

心理学的経営 p.175

個人の求める価値と組織の目標との統合については、
誰をバスの乗せるかという採用の問題も含めて、
今後、あらゆる企業が考えていかなければならない問題になっているように感じます。

いいなと思ったら応援しよう!

穿つ@組織コンサルタント
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!