【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part6
「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!
本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介していきます。
読み終えたあと、読者の皆さんが「制限にとらわれることなく自由な発想をしたい」「制限にとらわれずに自由な発想をさせたい」と思ってもらえれば幸いです。
第6回は、Bリーグ初代MVP&得点王で、日本国籍取得後に日本代表の中心選手としてW杯出場に大きく貢献した「ニック・ファジーカス」選手です。彼から学ぶ“明日から使えるセンスを高める方法”とは、どのようなものなのでしょうか。
【得意なプレーを伸ばす】
——ニック・ファジーカス
苦手を克服
「苦手なところをなくせ」「できないことをできるように練習しろ」という言葉は、バスケットボールの指導現場においてよく聞かれます。プレーヤー自身も苦手なことを一生懸命に練習して、克服しようと努力していることでしょう。確かに、苦手なことやできないことを克服することは重要です。しかし、そのことにとらわれすぎて自身の良いところ、得意なプレーを見失っているプレーヤーに出会うことがあります。とても特徴的なプレーヤーなのに、平凡なプレーを淡々とこなす……。とても残念な光景です。
得意な右手のフックショット
日本代表としても活躍するファジーカスの魅力は、その得点力にあります。特にゴール下付近のフックショットは破壊力抜群。フックショットは、主にペイントエリア内で放たれます。肩のラインを、自身をマークする敵プレーヤーの身体と直角にし、肩の幅を利用してショットブロックをされないように敵から遠いほうの手で放つショットです。
ファジーカスは右手のフックショットやフローターショットを得意としており、左サイドのローポストに位置し、リムライン側にアタックすることでリングの正面の位置で右手のフックショットを放ちます。
ファジーカスは、フロントコートでポジションを取る際に、最終的に自身が得意とする右手のフックショットを効果的に使用できる位置を占めているのです。
得意なプレーを磨く
ファジーカスはポジション取りに加えて、ボールを持ったあと、あえて左にドライブを仕掛け、マークマンに左側を守らせてから右に切り返してショットを放ちます。最終的に右手でフックショットを打つために、意図的に行っている動きです。自分の良いところ、得意なプレーを最大限に発揮させるための布石を打っているわけです。
苦手なことやできないことを克服することは重要ですが、そのことにとらわれすぎず、自分の良いところ、得意なプレーを伸ばしていくことも同時に進めていく。これが、バスケセンスを磨くには不可欠な取り組みでしょう。
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読んでいただき、ありがとうございました。第6回の掲載はここまでになります。次回の更新を楽しみにお待ちください。
88個のプレーを解説する本書籍では、普段見過ごしがちなプレーや気にも留めないような仕草にも焦点を当て、掘り下げることで、その裏側に隠された意味や効果を解説しております。気になった方ぜひ、本書籍をお手に取っていただければと思います。
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実際の書籍目次
part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】——マジック・ジョンソン
special【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】——ステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回 【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ