【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part4
「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!
本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介していきます。
読み終えたあと、読者の皆さんが「制限にとらわれることなく自由な発想をしたい」「制限にとらわれずに自由な発想をさせたい」と思ってもらえれば幸いです。
第4回は、ロサンゼルス・レイカーズの一時代を築いたレジェンド「マジック・ジョンソン」です。彼から学ぶ“明日から使えるセンスを高める方法”は、やはり「パス」。どのようなセンスが隠れているのでしょうか。
【パスコースを開通させる】
——マジック・ジョンソン
パスコースの実際
「パスコース」とは、パスを出すプレーヤー(パッサー)とパスを受けるプレーヤー(レシーバー)を結んだコースです。このコース上に敵のプレーヤーの身体の一部がかかってしまうと、パスを通すことが難しくなります。ですから、ボールマンは敵のプレーヤーが手を伸ばしたり、少し移動したりしても届かないと思われるパスコースを確保できた場合にパスを出します。
マジックのパスコース
1980年代のNBAをラリー・バードとともに牽引したマジックは、敵のプレーヤーに近い空間にもパスコースを開通させます。マジックとレシーバーである味方プレーヤーを結ぶライン上に立っている敵の顔のすぐ横や、頭の真上といった空間です。頭周りの空間は、敵のプレーヤーを大きくかわす動作が必要なくなるので、ごく小さいモーションから瞬間的にパスを繰り出すことができます。敵のプレーヤーにとって頭周りは近くの空間ではありますが、肩から垂れ下がってついている腕や手を瞬間的に頭付近まで上げることは容易ではなく、だからパスが通るのです。マジックが開通させるパスコースとして次にあげられるのが、敵のプレーヤーの足元。通常のディフェンスの構えでフロアまで手が届くプレーヤーはいません。また、足でボールに触れてしまうとキックボールのバイオレーションになります。これを利用し、マジックは自身と味方プレーヤーを結ぶライン上に立つ敵の足元のフロアにボールをバウンドさせるバウンズパスでパスコースを開通させます。
失敗を恐れずにパスコースを開通させる
多くの指導書では、ディフェンスプレーヤーの頭周りや足元のパスコースについて説かれており、よく知られているでしょう。しかし、実際にこのパスコースを利用するプレーヤーはあまり見られません。敵のプレーヤーに近い空間にパスを出すのは怖いものです。バウンズパスの場合、ダイレクトパスとは異なり、ボールのフロアに対する入射角と反射角をイメージしなくては正確なパスが出せません。さらに、ボールがフロアにバウンドする位置が敵のプレーヤーの足元になるようにしなくてはなりません。こうした要素がそろわないと成功しないため、敵のプレーヤーに近い空間を通過させるバウンズパスは高度なスキルといえます。しかし、敵のプレーヤーに近い空間にパスコースを開通させることに対して、勇気を出して積極的にチャレンジすることなしにパスセンスが磨かれることはありません。失敗は付き物。恐れずにチャレンジしましょう。
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読んでいただき、ありがとうございました。第4回の掲載はここまでになります。次回の更新を楽しみにお待ちください。
88のプレーを解説する本書籍では、普段見過ごしがちなプレーや気にも留めないような仕草にも焦点を当て、掘り下げることで、その裏側に隠された意味や効果を解説しております。気になった方ぜひ、本書籍をお手に取っていただければと思います。
part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】——マジック・ジョンソン
special 【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】ーーステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回 【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ
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