【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part7
「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!
本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介していきます。
読み終えたあと、読者の皆さんが「制限にとらわれることなく自由な発想をしたい」「制限にとらわれずに自由な発想をさせたい」と思ってもらえれば幸いです。
約3週にわたってお送りしてきたバスケセンス本文公開も、残すところあと3回。第7回は、NBAで最も好き嫌いが分かれた選手「コービー・ブライアント」です。彼を好きであろうと、嫌いであろうと、彼の“明日から使えるセンスを高める方法”は必見です!
【上半身を下半身で調整してショット】
——コービー・ブライアント
ショットハンド側の足が前
ワンハンドでのショットは、ボールをリリースする「ショットハンド」側の足が、ボールを支える「バランスハンド」側の足よりも後ろになると、ショット成功率が格段に下がってしまいます。そのため、キャッチ&ショットでも、ドリブル後のショットでも、ワンハンドショットを放つ場合には、ボールを保持したときにショットハンド側の足がバランスハンド側の足よりも前になるようにストップします。しかし、状況によってはバランスハンド側の足が前になってしまうこともあります。この状態のまま、ジャンプショットやフェイドアウェイショトを放つプレーヤーを見かけることがあります。ミスショットになるだけでなく、ひどい場合にはエアボールになることもあります。
空中で足の位置関係を変える
ロサンゼルス・レイカーズを5度のNBAチャンピオンに導いたコービーは、フェイドアウェイショトによって得点を量産したプレーヤーです。コービーは、さまざまな状況からフェイドアウェイショットを決めることができました。時には、バランスハンド側の足が前になってストップした状態からフェイドアウェイショットを放つことも……。バランスハンド側の足が前になってストップした場合、コービーはジャンプしてから空中で身体を回転させ、ショットハンド側の足を前に移動させてからボールをリリースしていたのです。
つまり、空中であっても、ボールがリングに向かって押し出され始める前までにショットハンド側の足のほうが前に位置していれば、ショット成功率の低下が妨げられるのです。
回転の影響をいなす
このジャンプしてから空中で両足の前後を入れ替える動作は、そう簡単にはできません。空中では身体を回転させた勢いを止めることができず、さらに、左右の足の位置関係が毎回異なっていることから回転の勢いは一定ではありません。このような回転はショットを定めることを困難にします。可能ならば、フリースローのように安定した状態でショットを放ちたいものです。
そこで、コービーは回転の勢いを下半身でいなして、上半身は常に同じ姿勢を保ちます。下半身の姿勢はショットごとに異なりますが、上半身は毎回、同じ姿勢が確保されます。ショットにおいて上半身の姿勢を保つには、下半身での調整が求められるのです。
◇ ◇ ◇
読んでいただき、ありがとうございました。第7回の掲載はここまでになります。次回の更新を楽しみにお待ちください。
88個のプレーを解説する本書籍では、普段見過ごしがちなプレーや気にも留めないような仕草にも焦点を当て、掘り下げることで、その裏側に隠された意味や効果を解説しております。下記に本文目次を掲載しています。気になった選手やチームがいたら、ぜひ本書でチェックしてみてください!
ーーー
実際の書籍目次
part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】——マジック・ジョンソン
special【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】——ステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回 【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ