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【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part3

「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!

 本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介していきます。
 読み終えたあと、読者の皆さんが「制限にとらわれることなく自由な発想をしたい」「制限にとらわれずに自由な発想をさせたい」と思ってもらえれば幸いです。


 第3回は、2019年ワールドカップで日本と対戦するアメリカ代表の候補メンバーであるヒューストン・ロケッツの顔「ジェームズ・ハーデン」です。明日から使えるセンスを高める方法の数々、ぜひ実践してみてください。


【テクニックの目的を新たに見いだす】
——ジェームズ・ハーデン


リフティングは身体の近くで行う

 アウトサイドからショットを放つ際には、ボールを受けた位置から一旦下げる「ディップ」をするにせよ、しないにせよ、一度ボールを額のあたりのリフティングポジションまで運び、それからリングへと押し出します。
 このリフティングポジションの局面がはっきりしているプレーヤーとほとんどわからないプレーヤー、もしくはこの局面がないプレーヤーもいますが、多くのプレーヤーがリフティングポジションの局面がはっきりと見てとれます。リフティングの際には、ボールを身体のすぐ近くを通すことで、自分をマークするプレーヤーからボールを離して、つまりカットされにくくしてリフティングすることができます。これは指導書のなかでよく書かれていることで、バスケットボール界の常識といえるでしょう。


身体からボールを離すリフティング

 その常識を覆し始めたプレーヤーがハーデンです。ハーデンは接近して守ってくる敵プレーヤーがバンパー(前腕でコンタクトして進行を止める)やハンドチェックのために手を出してきた際に、腕を伸ばしてリフティング、つまり身体からボールを離してリフティングすることで、敵の腕に自身の腕を引っかけます。これでショットファウルを獲得し、ハーデンはフリースローで得点するのです。おそらく、このファウル獲得はハーデンから意図的に獲得しにいっているドローファウル。こうなると、次のマッチアップにおいて敵のプレーヤーはハーデンに接近してディフェンスすることが難しくなります。こうしてハーデンは1on1のイニシアチブを握り、得点を量産します。リーガルガーディングポジションやシリンダーについてここでは議論しませんが、多くのプレーヤーがハーデンによるリフティングの餌食となりました。


リフティングの目的を発想し実行

 今後、ドローファウルのテクニックが普及していくかもしれませんし、ルールによって制限され衰退していくかもしれません。ただし、現時点においては、ハーデンの身体からボールを離すリフティングは有効です。ハーデンはフリースローを得て、さらに相手チームにファウルをつけるというダメージを与えます。重要なのは、リフティングの目的が、ショットを決めることではなくファウルをもらうためだということ。ドローファウルの是非は別にして、このような発想をし、試してみることができるかどうかがセンスを磨くポイントになると考えます。


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 読んでいただき、ありがとうございました。第3回の掲載はここまでになります。次回の更新を楽しみにお待ちください。
 88のプレーを解説する本書籍では、普段見過ごしがちなプレーや気にも留めないような仕草にも焦点を当て、掘り下げることで、その裏側に隠された意味や効果を解説しております。
 記事の最後に、本書籍の目次画像を掲載いたしますので、気になった方はぜひ、本書籍をお手に取って頂ければと思います。

part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】ーーマジック・ジョンソン
special 【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】ーーステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回 【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ

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書籍目次


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