見出し画像

新潟のとんでもない画家三兄弟の業績、東京で光を浴びる! ~尾竹三兄弟の大回顧展「オタケ・インパクト」@泉屋博古館東京(港区六本木)

◉これは、東京で開催中のすごい展覧会「オタケ・インパクト」が地元・新潟で開催されればいいなあ、と願うばかりのおばさんが勝手に書いた駄文です。

とりあえず「尾竹三兄弟って誰やねん」と思った方へ。
新潟出身で、明治末~大正期にかけて活躍した日本画家の三兄弟です。
上から、長男・越堂えつどう(1868~1931)、次男・竹坡ちくは(1878~1936)、三男・国観こっかん(1880~1945)。
特に次男の竹坡は新発田しばた市出身の抒情画家・蕗谷虹児ふきやこうじの師匠だったことでよく知られているかな? という感じ…… かもしれず。
正直、新潟県人でさえも忘れがちな画家、かもしれなくて、でも目にする機会はあまりなくて。というところ。

******

まず、10月末の話を。
よく晴れた休日、私は新潟市西蒲区潟東地区の田んぼのど真ん中にある小さな美術館・潟東樋口記念美術館に行きました。「尾竹三兄弟三者三様展」という企画展を見に。
こちらも12月15日まで開催。彼らの貴重な作品群、同じ画題を描いてもこんな違いがあるんだぞ、というまさに三者三様! な世界を楽しむことができます。

で、ロビーにさりげなく置いてあったのが、東京で開かれているすごい展覧会こと「オタケ・インパクト」のチラシ。

チラシを見た時「パの字がたぎっておる! パの字の下にある絵も滾っておる!」って思いました。
新潟に来るかなあ、どうなんだろう、と思い悩みましたが、でもやっぱり見に行こう(遠いけど)! と決めてしまいました。
その後ネットでもいろいろ調べて、チラシにもあった竹坡の作品《月の潤い・太陽の熱・星の冷え》《大漁図(漁に行け)》(後者が、チラシの「パの字の下にある絵」です)が掛軸であることを知り、「この作品の前に立って『うわーーー』ってなりたい」と思ったので。この2作は前期展のみの展示だったので、見れなくなる前に行っておかないと! というのもあり。

で、11月14日。いよいよ東京・六本木の美術館「泉屋博古館東京」へ。
やっぱり、パの字が滾っておりました!

都会のど真ん中、隣に大使館があるとかいう。

地下鉄神谷町駅で下車してここまで歩いてくるまで、まあまあいい感じのテンションになっていましたが。
その勢いのままに、いよいよ入館!

まず鑑賞させていただいたのが、ホールに展示されていた三男・国観の作品《絵踏》。こちらは唯一撮影OKということで、「もうやめとけ」ってぐらいバチバチ撮らせていただきました(申し訳ありません)。

間近でガッツリ見てほしい。すごいから。

写真を撮りすぎた言い訳でもあるのですが。
この群像劇、すごいんだよ!!

右の青い着物の女性が主役。右上の牧師、中央の役人や右端の男性の表情が気になる。

いや、ご覧のとおり「絵」なんですけど。
この中に描かれている数十人の人物それぞれの表情もキッチリ描き込まれていて、それに気づくと撮影ボタンを押さずにはいられなくなるのです。
返すがえすも、ほんとうざい観客だったと思います。ごめんなさい。
特に、マリア像が描かれた絵に足を載せる(キリスト教徒ではないと証明する)よう迫られている女性だけでなく、彼女の処遇に思いを巡らせているであろう重要な登場人物=牧師と役人の表情。
役人は「踏んでしまえば楽になるのに」と思っているだろうし、牧師もその辺理解しつつ「でも、彼女の(キリスト教徒としての)魂はどうなってしまうのか」などと思案していそうで。
それを見守る人々の視線、たたずまい。彼らは仲間か野次馬か、そんな想像もできてしまったりして。
正直、国観という画家はあんまり知らなかったんですよ。潟東の展示でも、竹坡と同じ画題を手がけていても次兄のほうに軍配が上がるかなあ、という印象で。
ここで、この《絵踏》や《油断》などの大作を見て、国観もすごいんだ! と知ることができました。

その後望みどおり、はじめ書いた2作品の前に立ち尽くし「うわーーー」ってなることができました。
まず、最初に目に飛び込んできた《星の冷え》のバックの茶色になぜか吸い込まれそうな感があり。そして《太陽の熱》の色づかいのえげつなさ、《月の潤い》の構図の訳わかんなさにやられっぱなし。
《大漁図》、あの中にはいったい何百匹の魚が描かれているんでしょうね。でも、この魚の目も1個1個描いたんだもんなあ、なんて想像したり。「漁に行け」という荒々しいサブタイトルそのままの、めっちゃわくわくするような絵です。
2作とも、あれが掛軸だなんてずるい。とか思ってしまいます。あれが床の間に掛かっていたら、もうその場を離れられなくなるんじゃないかと思います。
これらの作品に代表される「未来派路線」的なものにも挑んだ竹坡。
いったい何を考えてたんだ、なんて思ってしまうほどすごいんですが、そういう方向にいった経緯というか(ある意味「戦っていた」んですよね)、兄弟なりの苦労の諸々も今までよく知らなくて。「竹坡は衆院選に立候補したりなんてこともあったというし、まあまあクセ強だったのかも」なんて印象を、失礼ながら抱いてて……
ほんとその程度でした。自らの不明を恥じるばかり。
そうそう、11月19日から始まった後期展示で、竹坡の未来派な作品群がガッツリ見れるんですよね! いいなあ。また行って度肝を抜かれたい!!

はじめにも書きましたが……
僭越ながら、「この展覧会、新潟でも開催されればいいなあ」と願いつつ書いたものです。
その後押しになるかどうか、なんて考えるのもおこがましいですが。
でも、新潟で開催されたら、とにかくうれしい。というのは事実で。
なんで新潟でやってほしいのかというと、
私自身が尾竹三兄弟の画業:そのすごさをほとんど知らなかった、だからもっと深く知りたい。
県内での注目度も、さほど高くないんじゃないか。みんなで三兄弟の作品を見よう、ガッツリ知ってみよう!
なんて思っちゃってるのです。

長文でだらだら書いてしまうのが、私の悪い癖です。
ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!