どうでもいいルールも早く廃棄しないと生産性が上がらない
先日、「機能しなくなったものの廃棄」という記事を書きました。
今日は「生産性を阻害する機能していないルールの廃棄」についての話題です。
ドラッカーは成果をあげる活動に集中するために、最初に生産的でなくなったもの、機能していないものの廃棄をせよと教えています。
機能していないものの代表と言えば、実にくだらないルールです。
機能していないのか、これがあるから組織が機能しないのかわかりませんが。
少し前に、こんなネットの記事を読みました。
この記事では、スイスのビジネススクール「国際経営開発研究所」の世界競争ランキングで、日本は67か国中38位と、中国や韓国よりも下にランクされているということで、「ビジネスの効率性」に関する項目が軒並み低評価、中でも「企業家精神」や「企業の機敏性」については最下位だったと記載されています。
記事の筆者はその大きな原因に、日本の職場には「これって意味あるの?」と首をかしげるような謎のルールが至る所にあるからで、それが本来の生産性を低下させ、「クソどうでもいい仕事」を作り出していると述べています。
みなさんの周りには、「なんでこんなことしないといけないの」とか「いつまで昔のやり方に固執しているの」、と思うような生産性を低下させている原因となっている習慣や、明文化されていない昔からのルールのようなものはありませんか?
ある大企業の方から聞いた話では、役員に送るメールにはファイルを添付してはいけない、というルールがあるということでした。
役員にファイルを開かせるとは何事か、添付ファイルがある場合はまず秘書に送り、秘書から役員に手渡してもらうのが礼儀だとか。
もっとくだらなくて意味不明なルールもネット上にはたくさんあります。
☑ 始業前に全員でラジオ体操をした後に社歌を歌う
☑ 男性の長髪と髭は禁止
☑ 旅行で休暇を取るときには滞在先ホテルや利用する交通機関を報告する
☑ テレワーク中もスーツとネクタイ着用
書いていてバカくさくなってきますが、実際にある社内ルールだそうです。
ルールではありませんが、とにかく同調することを求められる組織というのはかなりあると思います。
私の経験でも、明らかに間違った方向に向かいつつあると確信しても、それが重役の意見だと誰も反論しない、なんていうことを何度か経験しました。
率直に意見が言えない、何を言ったかではなく誰が言ったかの方が重きをなす、議題と無関係なことを話し出す、成果を出すことよりも頑張っている姿の方が評価されるなどなど。
そんな非効率なことをしているから、生産性が上がらないのではないでしょうか。
また、突然のチャンスにうまく対応できない、なんていうこともあります。
元大蔵官僚の高橋洋一氏いわく、日本の役所に関する法律は「出来ること」が列記されている(ポジティブリスト)ので、「書いていないことは出来ない」と解釈されるが、英米法の基本はネガティブリストと呼ばれ、してはいけないこと、制約要件が書かれているので、「書いていないことはやってもいい」という解釈になると言っています。
これって民間企業にも言えることのような気がします。
「なんでそんなことを君がやっているんだ」
「そのテーマは計画書にないはずだ」ではなく、「それは面白そうだな」「もう少し深掘りしてみよう」になるといいですね。
ドラッカーが言っている「機能しなくなったものの廃棄」に中には、明文化されている規則や組織活動だけでなく、暗黙のルールややり方も含まれていると考えます。
ただし、現場の人たちは、いいと思ったことを始めることは出来ても、廃棄だけはトップが言わないかぎり現場では実現できません。
このやり方はもうやめよう、とマネジメントが言わなければいつまでたっても無駄な「クソどうでもいい仕事」はなくなりません。
生産性が極めて低い日本は、私たち自身が日々作り出しているという自覚をもつことが大切かも知れませんね。
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