組織の文化をつくるリーダーの資質と役割とは
組織におけるミッションの重要性については多くの情報があり、私も何度かnoteで取り上げてきました。
ミッションとは、その組織の社会的な役割、使命を表したもので、そこで働く人々にとっても重要なものです。
目的も知らずに成果を出すことはできません。
そして、それはどんなに全社員が完璧に暗唱していても、社員の行動に表れていなければ、単なる「情報」でしかありません。
実践して初めて価値を生むものです。
ドラッカーを敬愛していた『ビジョナリーカンパニー』の著者ジム・コリンズは、「時を告げるのではなく時計をつくる」と表現し、「時を告げる」カリスマ指導者ではなく、長く続く素晴らしい組織文化をつくることを「時計をつくる」と言い現わしました。
そしてドラッカーは、「時計をつくる」こと、すなわち優れた組織文化をつくる源泉にリーダーシップをおきました。
以前、『キリンビール高知支店の奇跡』の著者の田村潤氏の講演を聞いたことがあります。
キリンがアサヒスーパードライの波にのみ込まれつつある1995年、高知支店に支店長として赴任した時に、田村氏がまず感じたことは、危機感ではなく、職場に蔓延する受け身の行動スタイル、主体性の欠如だったと言います。
悩んだ末にたどり着いた結論が、ミッションに立ち返るということで、それは「われわれの組織の存在意義は何なのか」を問うことでした。
詳しくは本をお読みいただけるといいと思いますが、とにかく必死になって「全ては高知のお客様のために」というミッションを合言葉に、田村氏率先の下、全社員で猛然と行動し2001年には首位を奪還しました。
とても穏やかで優しそうな田村氏のどこにそれほどの情熱が秘められていたのか理解できなかったのですが、実はその頃に私が勤務していた会社に、当時の田村氏の直属の部下で高知支店で共に働いていたという人がいて、当時の話しを聞くと、その猛烈ぶりは際立っていたらしく、ミッションに反する行動をとろうものなら大声で怒鳴られたと聞きました。
当時は負け癖のついた弱小集団をよみがえらせるために、時を告げながら時計をつくったのだと思います。
田村氏は当時12名の小さな地方の支店長でしたが、その後は副社長になり、組織全体のリーダーになりました。
よく、「人たらし」と呼ばれる人がいます。
「人たらし」の資質だけを武器にトップの座に上り詰めた人ほど、組織にとって危険で有害な存在はないと確信しています。
ドラッカーはリーダーシップの役割を次のように教えています。
その結果として、「凡人に非凡なことをなさしめる」という組織の目的を果たせる人のことを指すのでしょう。
リーダーシップは、本を読んで望むだけでは手に入るものではなく、仕事の中で実践して育つものですね。
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