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トップは刃を研ぎ続けているか

ドラッカー読書会に参加していると、実に様々な職歴の方に出会います。

その中には地方のある県で有名な不動産会社の社長さんだったり、中堅規模の企業の会長さんなどという、企業の経営者の方々もいて、経営トップでありながらドラッカーを勉強し続けている姿勢には頭が下がる思いがします。
 
このような光景を見て思い出すのが『7つの習慣』(キングベア―出版:スティーブン・コヴィー著)に書かれていた、7番目の習慣「刃を研ぐ」の教えです。

今でも不朽の名著といわれている『7つの習慣』が96年に日本で発刊されてすぐに買い、夢中になって読んだことを覚えています。

36歳の時でした。
 
その10年後に、勤めていた会社で全社員対象に「7つの習慣研修」を行うということになり、参加したときにもらったカードを今でも名刺入れに入れて持ち歩いています。

30年近く持ち歩いていて、たまに取り出して見ているので表面が擦り切れ始めています(笑)

 「刃を研ぐ」という話しの由来は、有名なイソップ童話の「木こりの話し」で、簡潔に言うと、毎日仕事で木を切っていると斧やノコギリの刃が丸くなってだんだん木が切りにくくなる、従っていい仕事を続けていくためには日々、刃を研いでおかなければならないという内容の童話です。 

この話しのポイントは、「時間ができたら刃を研ごう」ではなく、毎日の仕事の中に刃を継ぐ時間をルーティンとして組み込んでおかなければならないということにあります。 

ビジネスにおいては、木こりにとっての斧に相当するのは「知識」です。

よって、ビジネスパーソン、とりわけ経営者は、常に「知識」に磨きをかけておかなければならないわけです。

 私がかつて参加したダイヤモンド社のドラッカー塾で講師の先生が面白いことを言っていました。 
先生は多くの会社でコンサルをして経営陣とディスカッションしたり、時に経営会議に定期的に出席したりしていると、その会社の経営陣たちがドラッカーを学んだか学んでいないかがすぐにわかると言います。

 そんな時、もし学んでドラッカーの教えを少しでも知っていさえすれば、もっと違う選択をしただろうにと感じることがしばしばあるというのです。

そして、学んでいない経営陣に限って「マネージャーたちに研修をやってくれ」と言うそうです。 

ここからが面白いのですが、先生が独立したての頃に、多くの会社で経営陣のリクエストに応じてドラッカー理論の社員研修をやると、その後、決まって社員と経営陣の関係が気まずくなったり溝が出来たり、時には対立し始めたりしたというのです。

先生は自分のやっていることがお客様の役に立っていないのではないかと悩み、その年のドラッカーのクレアモントの自宅への訪問時にドラッカーに質問したそうです。

するとドラッカーはこう言ったというのです。

「それは上からやりなさい」 

それを聞いて、その後ドラッカー塾は経営者コースを設けたと言います。 

どんなに鋭い刃でも、研がずに使い続ければ生ぬるくなってしまいます。
トップも勉強し続けなければ、同じこと。

それなのに、社員に研修をしてくれという。

トップから学ぶ姿勢を持たなければダメですよね。

お読みいただきありがとうございました。
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