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フラットな組織をつくる
1.2022年1月16日放送の「がっちりマンデー」
今朝の「がっちりマンデー」でスタートアップの若手起業家の方々と、いつものニトリの似鳥さん、星野リゾートの星野さん、日本交通の川鍋さんが出演し、若手起業家の方からの質問に大御所が答えるというシーンがありました。
毎週楽しみにこの番組を見ているのですが、特に新年にはこういった面白い企画が放送されます。
若手起業家の方の「会社が大きくなる前にやっておくべきことは何ですか?」という質問に対して、星野さんがこう答えていました。
「ある人を作らないことだ」
これ、どういう意味かというと、部長になると机が一回り大きくなる、役員になると専用の車がある、社長になると個室があるなどと、役職ごとに「ある」という特権が与えられるということを、小さい規模の時からやらないことが大切だということです。
星野さんは、役職というのは権限が伴うが権力ではないので「以前はとても素晴らしい業績を残し判断力も抜群だったけど、最近は今一つだなあ」という人がいた場合、違う役割の仕事をしてもらうべきで、そのことを「降格」というのはおかしなことだと。
権限を与えられたり外されたりして、上がり下がりしながら、様々な領域の仕事をして成長していって欲しいわけで、その時に大きな机を奪うことになったり、専用車を取り上げることになってハレーションを起こすことのないように、最初から「ある人」を作らないことだ、と言っていました。
星野リゾートの人事制度については個別に調べていただきたいと思いますが、私はこの意見に大賛成です。
2.肩書って何だろう?
多くの日本の企業では一般的に、7から11くらいの「階層」があって、在籍年数と成績などを加味しながら、上へ上へと昇っていきます。
それぞれに役職名と同じ肩書がついている場合もあれば、職階と役職を分けている会社もありますが、基本的には速度の差こそあれ、概ね「上への一方通行」です。
これではどのように工夫しても結局は「年功序列」にならざるを得ません。
「役職名(肩書)」というのは、仕事の役割であって、決して「権力の象徴」ではないわけです。
大人数の部門の責任者(部長)を役割として担っていもらっている人に、会社の将来をかけた新しいプロジェクトのリーダーをやってもらおうとしたときに、そのプロジェクトがまだ少人数であれば「部長」ではなくて「プロジェクトマネージャー」が適切なのかもしれません。
また、部長としてはちょっと力量不足だなと判断した場合には、その人が最も強みを発揮できるであろう部署に異動してもらうことだってあるわけで、そのことを「降格」だというのは全くの的外れなはことなのです。
「役職名(肩書)」はあくまでも、その人の仕事の役割です。
役割が変われば役職名も変わるのは当たり前なのですが、これが中々すんなりとは社員に理解してもらえません。
だから星野さんは、「役職名=出世のシンボル」という文化がはびこる前に、最初から注意しなさいと言うことなのでしょう。
私も大賛成なのですが、社長時代、苦労しました。
3.現場でよくある話し
一般的な会社には「職能要件」のような基準があって、例えば「課長は〇〇ができる」という本来の職能の他に、「課長は〇〇人以上の部下を持つ」「部長は〇個の課を束ねる」などといった、組織の基準もあったりします。
これは昭和の時に作った決まり事で、「社会全体が同じ方向を向いて同じように成長していく」時代のモデルです。
でもこれは、まだ多くの企業で残っているのではないでしょうか。
私が社長時代、若手を抜擢しようとして有能なA君をある営業所の所長に任命しようとしたところ、事務方から「彼はまだ管理職になっていないので、それはできません。どうしてもということであれば、彼を特例的に管理職に昇格させてください」と言われました。
私は「昇格とかいうことではなく、役割としてやらせたいんだ」と主張しましたが、彼は「でもそうなると、特例扱いになってしまいます」と譲りません。
制度運用上、彼の言うことの方が正しいわけなので、こうなると、制度そのものを変える以外にありません。
こういう話しって、往々にしてあります。
結局その時は、管理職に昇格させて任命しましたが、おかしなことです。
また、よくあるのが、例えば「課長」をある新規事業の先駆け的な開拓者として、単独、あるいは部下1人で任命する時、課長を外してしまうと降格に見えてしまうということで、体面を保つためだけに新しくもっともらしい役職名を考える、なんていうこと。
私から見ると実にくだらないことです。
4.肩書は役割なのだから、取ったり付けたりは当たり前
これは、最初が肝心です。
星野さんが言うように、会社がまだ小さなうちから、肩書なんてくそくらえ、でやっていかないと、大きくなってから変更するのはとても困難です。
私のいた会社は、私が社長に就任したときは創業48年目だったので、すでにこうした権威主義的な制度や社風があり、私の改革は中途半端な状態で退任してしまいましたが、最後までやろうとした場合は、相当な苦労をしたことでしょう。
でも、役員になると名刺が縦型になるという慣習を廃して全社員同じデザインの名刺にする、ということと、役職名ではなく全員「さん付け」で呼ぶ、という2点だけは実行しました。
最後に「がっちりマンデー」でニトリ会長の似鳥さんが
「うちでは全員、さん付けだ!」と言ったのに対して、司会の加藤さんが
「じゃあ、会長も似鳥さんて呼ばれているんですか?」と聞いたところ、
「いや、わたしだけは会長だ!」と言っていましたね。
結局、昭和だってことですかね(笑)。