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ドラッカーの教え/人の強みを生かす5
「人の強みを生かす」シリーズ。
今日は強みを生かして「自らの成果を上げる」についてです。
今日の投稿は『経営者の条件』(P.F.ドラッカー著)の中からの引用が多くなります。
ドラッカーは成果を上げるうえで、人の性癖や気質などは重大な要素であると言っています。
少し長くなりますが以下に引用します。
「成人する頃には誰でも、朝と夜のどちらが仕事をしやすいかを知っている。
大まかに下書きをしてから書くのと、じっくり完璧な文章を一つ一つ書くのと、いずれがよい文章を書けるかを知っている。
原稿を準備した場合と、メモだけの場合と、まったく何もなしの場合と、いずれがよいスピーチをできるかを知っている。
さらには、チームの一員としてか、一人でか、いずれがよい仕事をできるかを知っている。
チームの一員としては全く駄目かもしれない。」
ドラッカーが挙げる例はまだまだ続きます。
「詳細な筋書きがあるとき、つまり十分考えておいたときに仕事のできる人がいる。
プレッシャーがあると仕事のできる人がいる。
(中略)ほかの人には厄介で嫌な報告書のとりまとめが簡単にできる人がいる。
ところがその報告書を基に意思決定を行うことは苦手でうまくいかないという人がいる。」
つまり成果の上げ方は人それぞれで、決まったやり方などはないということです。
こういったことは一見、本質的なことではないように見えるかもしれませんが、成果を上げるエグゼクティブは、ほかの人には困難でも自分には簡単にやれるという「自分の勝ちパターン」を知っていると言っています。
これが「自分の強みを知る」ことの意義です。
「強みのみが成果を生む。
弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。
しかも、弱みをなくしたからと言って何も生まれはしない。
弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなくてはならない。」
ここで問題なことは「自分自身の強みを知っているのか」ということになります。
成果を上げている人はみな、自身の勝ちパターンを知っているとドラッカーは言っていますが、同時にこうも言っています。
「誰もが、自分の強みはよくわかっていると思う。しかし、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。」(『明日を支配するもの』)
ということは自分の強みをよく理解しているという人はかなり少なく、本当の強みを知るということが意外に難しいということです。
私はというと、自身の強みの資質として「*着想」や「*個別化」「*活発性」「*未来志向」などを持っています。
( * の名称はGallup社に帰属します)
そして強みを生かした勝ちパターンとしては「未来のことを思い描き、一見無関係に見えるいくつかの事柄の関連性を見出して、新しいことを発想する」ことが得意で、このパターンが一番よく発揮されるのはブレーンストーミングにおいてであると理解しています。
このことは過去の自分の経験からうすうすわかっていましたが、それを的確に示してくれたのが、ギャラップ社の「ストレングスファインダーⓇ」によるオンラインテストでした。
この「ストレングスファインダーⓇ」を考案したドナルド・クリフトンという心理学者は、世界中での膨大なリサーチの結果、人間の様々な才能は5,000種類以上にも分類され、それらを似通った資質にクラスター分けして34の才能の資質があることを発見し、それを見分けるためのテストとして「ストレングスファインダーⓇ」というものを開発しました。
D.クリフトンは人の強みを生かすことが成果を上げ、人が幸せに生きる方法だと提唱し、ドラッカーは「経営者の条件」で強みを生かせと教えました。
世界的に有名なアメリカの調査会社のGallupでは、有料ではありますが強みを発見するためのオンラインテストを公開しており、現時点(2022年9月5日)では世界中で累計2,831万人以上がこのテストを受けています。
クリフトンストレングスオンライン才能テスト | JA - ギャラップ (gallup.com)
このテストを受けてレポートを受け取り、ストレングスコーチとともに自分の勝ちパターンを探してみるというのは、今後みなさんが成果を上げていくうえでとても有効なことだと思います。
皆さんは自分自身の強みをよく理解していますか?