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【山の気配の正体】

ある日ロッククライミングしに山の登山口に立った時、ふと〈山の気配〉を感じた。
なにか雰囲気がいつもと違っている。オレの知っている山の雰囲気ではない。
何か様子がおかしいのだ。
山がオレをちょっと拒絶してる感じ。寒くなったからなのか、オレの防寒装備も山をちょっとだけ拒絶している感じ。

とにかく、そんな寒くて重い気配を山がだしていた。見た目でハッキリと〈そういう気配〉を感じた。
〈そういうタタズマイ〉とも言えるものだ。

でも気にせず山に入った。ケモノ道をひたすら20分登り、崖のあるポイントにたどり着く。
オシッコをして、ナワバリを主張する。
サンドイッチを食べる。コレがたまらなく13倍くらいうまい。
魔法瓶の甘いココアを飲む。コレが2352倍くらい細かいほどウマい。話しはそれたが…

ロープを垂らして準備ができたところで、急に腰が痛くなって登るのをやめる。
まぁこんな日もあるのだろう。
やる事がないので、ただボーッとしていた。そしたらある事に気がついた。

木の葉が風にザワザワする音がない。木の葉はもう枯れ落ちて、代わりにヒューヒュー言っている。
虫の声もない。鳥も鳴かない。いつもよりとても静かで、代わりに枯れ葉のガサガサ音。
あとは、全体の茶色がオレオレ感を出している。視界にいつもより〈木の茶色〉と〈土の茶色〉と〈草が枯れた茶色〉が多く見えるという事だ。

そんなの当たり前だ。
でも、オレには当たり前ではなかった。
気がついていなかった。

気配とは、いつもは気にも留めていないが潜在的に五感で感じている事を、全部まとめてカタマリにしたものだった。

気配とはアニメの「むむ、殺気だ!」的な事で、「見ただけで強さがわかる!」的な事だ。
オーラ的な事かも知れない。
オレはもしかしたら、すごい事に気がついたのかも知れない。

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