舌で歯と歯の間の鶏肉を掃除しながら
ふと思った事がある。
今しているこの作業の時は、いつも(ほとんど無意識)に食事の後に必ずやっている。神経はいつも別の〈片づけ〉とか〈音楽〉とかに向いている、いわゆる〈ながら運動〉だ。舌先の細かい筋肉の動きとか、舌先と鶏肉の接点の先の事などは、ふだんから考えない。
でも、それは考えようと思ったら意図的に神経を向けることは出来る。
…何が言いたいかというと、えーと、つまりその構図が〈あっちと繋がってる感じ〉の構図に似てる気がするという事だ。
あっちの世界と繋がった状態を実感する為には、
〈食事の後片付け〉の手を止めて、
歯と歯の間の食べカスを探す舌の感覚と一体になって、
〈自分は舌なんだ〉と思えるほど、夢中に食べカスを探す必要がある。
コレさえ出来れば〈繋がった状態で生きる〉事が出来るのだ。
コレを知る為にオレは離婚とか人生の代償を支払ったのかと思うと、少しオェっとするけど、簡単さがわかっただけでもいいとしたい。
だから文章を書く手を止めて、見つけた胡椒の小さい粒を噛み砕いて味わおうと思う。