短編小説「モバイルバッテリー」
君の隣で目が覚める。
布団の中の君の手を探し当て、君が起きないように握る。
横を見ると君の寝顔が見れて、部屋を見渡すと君の生活が見れる。
ずっとこの時間でいい。このままがいい。
「何か食べる?」
目を閉じたまま君が言う。起きていたのか。
「大丈夫、おなか空いてない」
「じゃあコーヒー淹れるね」
オーバーサイズのスウェットを着て、君は台所に向かう。
「今日何限から?」君は少し眠そうだ。
「午後からだよ」
君はお湯を沸かし、戸棚からピンクのコップと青のコップを取り出す。
「私二