家への思い【3】
先日、子供の脳の病気が見つかりました。
先天性で原因はわかっていないものの、胎児のごく初期に発生するそうです。
突然のことに驚くと同時に、健康に産んでやれなかったことを悔やみました。
可愛かった幼少期も少しひねくれ始めていた小学生の頃も、静かにそこにいたわけです。
入ったばかりの高校をしばらく休むことになり、落ち着けば普通に生活できるとは言われたものの、登下校中に倒れはしないか、勉強の遅れやクラスに馴染めるかどうかなど心配は山積みでしたが幸い後遺症もなく、先生方やクラスの友達がよくしてくれて、今では元気に暮らしています。
今も子供部屋は2階にあるのですが、退院当初は階段の登り降りで転がり落ちる懸念があったので、1階のリビング横の和室で生活させようかと考えていました。
ところがこの部屋、リビングで邪魔になったものが流れ着く墓場のような状態で。
しかも洗濯物干し場も兼ねているため(アザミウマがたかるので外に干せない)よく言えばウォークインクローゼット扱い、悪く言えば置きっぱなしの服で足の踏み場もありませんでした。
しかし子供の命がかかっています(と、そのときは思い込んでいます)
入院期間は2週間、毎日電車とバスを乗り継いで病院に通う傍ら、重い腰を上げて掃除に取り掛かりました。
家にいる時は兄姉にも手伝わせ、私物は持ち上がらせ、不用品はゴミ袋へ。
それで半分ほど片付いた頃、タイムアップ。
どうしたものかと思いましたが本人は順調な回復を見せ、2階でも大丈夫だと。
主治医の先生に至っては、
「経過も問題ないし、体力をつけるためにも階段の登り降りはしてもかまいません」
とおっしゃる。
無駄な努力だった、わけではなく。
これをきっかけに少しずつではありますが断捨離が進み始めました。
捨てられないと思っていた洋服たちもリサイクルを受け入れてくれる店があることがわかりました。
ただ捨てるよりも何かの役に立てば罪悪感も薄れます。
急を要したあの時に比べればのんびりしたものですが、スイッチは入りました。
子供は幸いにも命に別状はありませんでしたが、自分自身にも何が起こるかわからないのだ、と。
そのときに家族を困らせないように、片付けておこう。
そんなふうに思うようになりました。
次回に続く→