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プロフェッショナルギアΣ スリムに冬柿

この記事を書くうえで、確認の必要もありブラウジングしてみると、何とセーラーのプロフェッショナルギアΣシリーズは疾うに廃番になっていました。私がうっかり知らなかったというだけなので、そんな驚いたような口ぶりになるのはおかしいですね。

私の初めての万年筆が、四年前に手にしたセーラーのプロフィットスタンダードであることは以前にも述べました。そのペンを使いだすと、特に初心者にはありがちなことでしょうが、ではプロフィットスタンダード21はどれほどの違いがあるのかということが気になってきます。記録によれば実際私は三ヶ月後にそれを買い足しています。それでも飽き足らなかったのか、さらにその翌月にはプロフェッショナルギアΣ スリムを手にしていました。

Sailor Professional Gear Sigma Slim Medium nib / Pilot Iroshizuku Fuyu-gaki
Tsubame Notebook H30S

やはり成行きで、では他のモデルはどうなのかと気になったものらしいということと、当時はそれほどセーラーにぞっこんだったのだなということが思い出されます。ただ、それでやっと落ち着いたといいますか、それ以降にはセーラーのペンは買い足していません。

セーラーのもっと大きなモデルを使ってみたい気持ちはあるのですが、一方で、――「ふでDEまんねん」という品のよさとは対極のネーミングセンスを備えるメーカーが出すペンをこう評してよいものか、いつも躊躇するところですが――プロフィットスタンダードなどの小ぶりなモデルにこそセーラーの品のよさが体現されている気もします……今のところセーラーについて、私は充たされているといってよいのでしょう。

Sailor Professional Gear Sigma Slim Medium nib / Pilot Iroshizuku Fuyu-gaki
Life Noble Note A5

その三本のセーラーですが、ペン先の大きさ、形状については、まあ同じではないかと見受けられます。ただ、このプロフェッショナルギアΣ スリムについては、他の二本に見られるような、ペン先が紙に触れる際のそこはかとないやわらかさは認められません。そのぶん、ペンポイントにいささかの大らかさを与えることによって、接地の際のフィードバックを吸収しているのではないでしょうか。

もっとも、違いがあるのか、あればどれほどなのかが気になるなどといいながら、私は三本を並べて書き比べたことはなく、一本を使うときに他の二本の記憶を何とか呼び起こして比較しているに過ぎません。実は三本にそこまでの違いはないのではないか、それこそ個体差かもしれないし、と疑う気持がないわけでもありません。

本当は比較するなら、インクも紙も揃えるべきなのでしょうが、実験室での比較よりは、実際の使用に即した実感のほうが大事だろうという釈明のもと、そうしたこともしていません。

Sailor Professional Gear Sigma Slim Medium nib / Pilot Iroshizuku Fuyu-gaki
MD Notebook A5

さて、あれほどぞっこんだったセーラーですが、その後、やはりもりもり書くには比較的インク容量の大きなピストンフィラーや、そうでなくてもパイロットのカスタム74(容量の大きなcon-70が使える)が効率的で、都合がよいと感じるようになり、その三本のセーラーは徐々に出番を減らしていきました。

ところが最近になって、効率を追求するのなら端からキーボードで打ち込めばよいのだし、万年筆を使いながら経済を云々するのもおかしな話ではないか、と今更ながら思い直し、その三本のペンを引っ張り出しました。

例えば色彩雫の冬柿は大好きなインクで、私はずっとカスタム74に入れていましたが、ブルーブラックあたりと比べると、やはり普段使いには向きません。容量の大きなcon-70をセットしたカスタム74は、ブルーブラックあたりを入れてもりもり書いたほうがペンの真価が発揮できる気がします。

そこで、冬柿は代わりにこのプロフェッショナルギアΣ スリムに入れました。冬柿はふと無性に使いたくなりますが、もりもり書くわけではないので、インク容量も適当でしょう。

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