
遠出に同行したペン(ボールペン・シャーペン・万年筆2)
遠出に同行したペン。左から
・三菱鉛筆 ピュアモルトプレミアム SS-2005 油性ボールペン
・パイロット S30 シャープペンシル
・ラミー AL-star F
・パイロット カスタムヘリテイジ92 FM

使っているペンケースに合わせて、自然と四本携帯するかたちになりました。
ボールペン
私はふだんボールペンをほとんど使わないのですが、だからこそ何かの申込書といった書類に記入するときにはあちこち探し回るはめになるのが常でした。そこで、いい大人でもあるし、一本でよいのでお気に入りのボールペンを持って、そばに置いておこうと決め、選んだのがこのピュアモルトプレミアムです。シンプルなデザインに、黒に近い軸と、シルバーの金具の配色がとても気に入っています。
近頃は油性ボールペンも、さらさら、スラスラ書きやすいとされるペンが主流となっているようですが、このペンの芯には昔ながらのクラシックな油性ボールペンの趣があります。恐らく走り書きには向かないでしょう。ただ、私の主な用途は、申込書等の書類への記入なので、むしろそのインクの趣を好もしく感じています。そのほか、ちょっとした署名にも今はこのペンを使っています。
シャーペン
私はふだん、パイロットS20(0.5mm・0.3mm)、S30の三本のシャーペンをかわるがわる使っています。S20については、比較的長い、固定されたガイドパイプが、衝撃で曲がってしまうことが間々あるという話も聞きますので、携帯にはいささか心許ないと思いました。そこで、ペン先を中に仕舞うことができるこのS30を持ってきました。
S20とS30の書き心地の差は確かにあります。オートマチック機構のS30がいちいちノックせずともよいというのはやはりありがたいですね。その機構を搭載した代償でしょうか、S30はS20と比べて結構重く感じます。また、S20はペン先に遊びがなく、より厳密な狙いの通りに書けるのに対して、S30は紙に当たるときにペン先が少し沈み込む――空間的には上の、ボディ側に向かって引っ込むような気配があり、その遊びのぶん筆の運びにどこかもっさりした印象を受けます。
ただ、私はシャーペンについては、一日にB5ノートの半ページ、せいぜい一ページを間欠的な記入で埋める程度で、長々と休みなく書きつづけることはありません。だから上記の書き心地の差の影響を受けることはあまりなく、S20とS30を同じように使っています。
万年筆2
万年筆と聞くとやはり、黒軸に金クリップのいわゆる仏壇万年筆がまず思い浮かびます。仏壇万年筆を外で使うと、「あれ、何だコイツ、今時万年筆なんて使ってやがるぞ」とおもしろがられるのではないか。私が思うほど人は私のことを見ていないし、興味もないだろうから、本当は気にすることもないのですが、もしもということがないともいえないので、このあまり万年筆らしく見えない二本を選びました。

AL-starは軽いですし、カスタムヘリテイジ92は大きさが手ごろで、もちろん家でも使いますが、持ち運ぶのにちょうどいい具合です。
私としては、AL-starのヴァイブラントピンクのボディと、インクのブルーのマリアージュはツボで、書きながら何度もウンウンとうなずきました。仏壇万年筆も好きですが、AL-starにはそうした愉しみ方がありますね。

カスタムヘリテイジ92。今のところ、私のこの中細字は毎回少しウォーミングアップが要る様子です。最初はちょっと硬い感じがあり、書き心地は悪いわけではないけれど、特筆すべきところがあるわけでもありません。
ところが、五行ほど書いた後、次の行に移ると、急に花が開いたように、強張っていた表情が綻んだように、ペン先はしなやかに踊りながらインクを吐き出しはじめます。と、そう書くとやはりちょっと大げさですね。ペン先は踊ったりはしません。
硬かった表情が綻びるその変化は、小さなペン先で起こる物理的にはごく小さな変容であるはずです。しかし、その書き心地の落差は、たしかに手ごたえとして実感できます。最初少し強張っているからこそ、綻んでからのしなやかさが際立つのでしょう。いや、そのしなやかさは慎ましいものなので、最初の強張りがなければ気づかなかったかもしれません。