Light and Lively
何か楽しい。ただただ楽しい。昨日届いた TWSBI ECO のことである。まずはキャップをかちりと安定的にポストすることができ、脱落の心配が少ない点が気に入った。
クリア色のボディは、入れたインクの色が楽しめてよいなどとよく聞くが、常々私は「それはいいね」と応じつつも、そんなこと些末事ではないかしらと考え、時に小さな冷笑を浮かべさえした。ところが、この TWSBI ECO を手にし、インクを入れたとき、自らの浅薄を大いに恥じることとなった。
インクを横目に書くのも、机に置いたペンの中のインクを眺めるのも、なるほどじつに楽しいのだ。
私が万年筆の購入に至るには、心の裡の購入検討会議を経る必要がある。この ECO はピストンフィラー式だが、分解、手入れのためのレンチとグリースが付いているという。「どうだい、ここらでピストンフィラーの分解、手入れについて学んでおくというのも気が利いているじゃないか」私Aがそう言って、「しかし肝心の書き心地はどんなものなんだろうね」と最後まで慎重だった私Bを押し切った。
書き心地は、香気や雰囲気を醸すものではない。だが、それがよい。Light and Lively な筆記が楽しい。万年筆を手にして、いつも香気や雰囲気を味わいたいわけではないのだ。
私はこの Light and Lively な筆記がたいへん気に入った。それで、「ピストンフィラーの分解、手入れについて学んでおく」云々は、もうどうでもよくなった。どこかに飛んで行ってしまった。もっとも私Aにしても、恐らくは議論を優位に進める手管として持ち出しただけで、然したる思い入れがあるわけではないだろう。
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