いつもの悪夢、ほんの小さな救い
動物が亡くなる話が苦手な人は読まないでください
僕には良く見る悪夢がある。それは自分が飼っている動物や植物を死なせてしまう夢。
僕はペットとして動物を飼ったことがない。親は魚を飼っていたけれど、僕が幼いうちに誰かにあげてしまった。植物は、小学校で朝顔やヘチマを育てて、それはとりあえず花を咲かせて種を回収した。しかし家でねだって買ってもらった小さな観葉植物は枯らしてしまった。
それが大元の記憶なのだろうか。僕の悪夢のバリエーションには、ペットを死なせてしまう、という夢がセットされている。ペットは動物で、大抵犬か猫、珍しいときはフクロウやオウムのような鳥になる。
死なせてしまう理由は、大体餌をあげ忘れたことだ。ずぼらな僕にはあり得そうな話で、だから僕は現実ではペットを飼いたいとは思わない。それか僕の不注意で事故に遭わせてしまう。
朧げな夢の中の映像で、色んな動物たちが苦しんでいるのを見た。何故か死んでしまった後からではなく、その直前から夢が始まるのだ。そして毎回息を引き取っていく。僕のせいで。
ざっと夢占いのサイトを見ても、動物が死ぬ夢はリスタートの暗示だとか、愛を求めているのだとか、死を恐れているとか、色々ある。夢占いだし、そんなものか、と思う。
今日の夢はいつもと少しだけ違っていた。まず、複数の動物が出てきた。猫と鳥、そしてもっと小さな動物が5匹くらいいたと思う。みんな瀕死の状態だった。たぶん怪我をしていた。
僕は獣医さんに、泣きながらこの子達を助けてくれとお願いしていた。まるでコールドスリープさせるかのように、動物たちは冷凍庫に入れられた。獣医さんは、助かるかどうか分かりません、と神妙な面持ちで彼らを取り出し、何事かを施した。
最初に鳥が息を吹き返した。寒くはなかったのだろうか、弱々しさはあったものの、しっかりと目を開いて、もう大丈夫という雰囲気だった。僕は少し安心した。
そうやって小さな動物たちは目を覚ましていき、最後は猫だった。この子がいちばん重傷のように見えた。僕は真剣に祈っていた。獣医さんも、今度は何かの儀式を執り行っているかのように見えた。
かくして、最後の猫も目を覚ました。僕は嬉しさに涙を流した。もう離さない、辛い思いはさせないと誓った。そこで夢は終わった。
何度も動物が死ぬ夢を見たけれど、死を免れて復活する夢は初めてだった。夢占いなんて関係なしに、これは何かの暗示だと思った。きっと、僕の何かが良い方へ変わる、という。
暖かなその体温を感じていた。良かった、という安堵を感じていた。僕が欲しいものだ。愛、といっても良いのかもしれないけれど。穏やかで安心できるもの。
夢の中でそれを手にした。どこか現実のような感覚だった。もしかしたら、本当に、そうなのかも、ね?