息継ぎをすると苦しい(5月の振り返り)
クロールの息継ぎのとき、息を吸おうとすると苦しくなる。上手く呼吸が出来ないからだ。コツはわざと短く息を吐くこと。そうすれば自然と息を吸える。
今月のわたしも、休むことが苦手だった。少し得意になれたと思っていたけれど、そうではなかったみたいだ。
何かに没頭していると苦しくない。勉強でも、裁縫や編み物でも、お絵描きでも。それが分かっていたから、出来るだけ人と関わらずにそんなことばかりしていた。
それでもやっぱり人と全く関わらないなんてことは出来なくて。そのたびにわたしは地上に打ち上げられた魚みたいに、宇宙から落ちてきた隕石みたいに、その新鮮な呼吸に苦しくなる。さっきまで深く深く潜っていられたのに。さっきまで無音の世界に漂っていたのに。にんげんという引力が、わたしを苦しめる。
にんげんはわたしもホモ・サピエンスであって、日本国民であると思い出させる。こうしなきゃって思いが溢れる。真面目に、優しく、努力して。
それが苦しくてまた深く潜る。今度は人間のことも忘れていなくて、そのせいで心が痛い。見た目は人間のくせに、中身は違うから。ああ、間違えたなあ、生まれる場所を。
しばらく深く潜っていようかなんて思う。1年くらいなら出来なくもないかもしれない。でもどうしてそうしないんだろう。分からない。わたしは人間に見えるので、せめて人間のふりをしたいのだと思う。