特定保健用食品の成分一覧&解説
トクホの成分について、皆さんはちゃんと整理できていますか。
この記事では、成分一覧とその作用について簡単な覚え方をまとめています。
薬剤師の筆者が実際に使用している暗記方法も交えて紹介していきます!
是非、ご一読ください!
特保の成分および表示内容
特保の成分と表示内容をまとめてみました。
これらすべて覚えるのは気が遠くなりそうですね。
表示内容ごとに解説していきます。
おなかの調子を整える系
イメージとして、消化管で吸収されずにそのまま便として排泄されるものを思い浮かべてもらえればいいと思います。
また、この効能を持つ特保は、規格基準型のものが多いことが特徴です。
規格基準型は、オリゴ糖・食物繊維・難消化性デキストリンの3つです。
ビフィズス菌や乳酸菌はヨーグルトや乳製品からなんとなく推測できますね。
血糖値が気になる方系
糖質の吸収を抑えるものが該当します。
作用機序は下記の通り、成分によって異なります。
● 物理的にトランスポーターからの吸収を阻害する
→難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール
吸収されずに腸管にとどまるので、糖質のトランスポーターによる輸送を物理的に邪魔します!
● 糖質分解酵素のはたらきを抑える
→小麦アルブミン、グァバ葉ポリフェノール
血圧が高め系
ーペプチドと語尾につくものが多いです。
●ACE (アンギオテンシン変換酵素) 阻害作用により降圧作用を示す
→ラクトトリペプチド、カゼインドデカペプチド、サーデンペプチド等
アンギオテンシン変換酵素 (ACE) とは
レニンーアンギオテンシン系で働く、昇圧作用につながる酵素の1つ。
血圧が上昇するまでの流れは以下の通りです。
腎臓の輸入細動脈に存在する傍糸球体細胞から分泌されたレニンが、血液中のアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換する。
アンギオテンシン変換酵素 (ACE) により、アンギオテンシンⅠ→アンギオテンシンⅡに変換される。
アンギオテンシンⅡが受容体と結合し、血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
副腎皮質からのアルドステロンの分泌を促進させ、体液貯留により血圧を上昇させる。
アンギオテンシンⅡにはそれ自体に昇圧作用がありますが、さらにアルドステロンの分泌も促すことで、2wayでの血圧上昇を行います。
ACEの働きを阻害すると、この昇圧の流れが止めることになるので、降圧作用に繋がります。
●ノルアドレナリンの分泌を抑制することにより降圧作用を示す
→γ-アミノ酪酸 (GABA)
機能性表示食品でGABA配合のお菓子を見たことありますか?
きっと脳の休息的なことが書かれていると思います。
薬でもベンゾジアゼピン系等の向精神薬や眠剤はGABA A受容体に作用し、鎮静作用を引き起こします。
そこから関連付けて、交感神経を抑制すると覚えておくと良いでしょう。
コレステロール高め系
消化管内のコレステロールや胆汁を吸収させないイメージを持つと良いです。
●消化管内のコレステロールを吸着して便として排出させる
→低分子化アルギン酸ナトリウム
●胆汁酸を吸着し、便として排出させる
→キトサン、大豆タンパク
強引ですが、
胆汁「酸」とキト「サン」
「胆」汁酸と大豆「タン」パク
と関連付けて覚えると良いのではないでしょうか。
ミネラルの吸収を助ける系
ミネラルと一言で言っても、様々な種類やメカニズムがあります。
●カルシウムとリン酸の結合を阻止し、カルシウムの吸収を高める
→カゼインホスホペプチド (CCP)
ホスホ=リン酸を意味します。
カルシウムとリン酸は結合しやすいことから、CCPは、カルシウムの吸収に関与すると関連付けると覚えやすいと思います。
●カルシウムとキレート形成し、可溶性を高め、吸収を高める
→クエン酸リンゴ酸カルシウム
カルシウムは二次止血における血液凝固因子Ⅳという側面を持ち、血液凝固に不可欠な存在です。
クエン酸はカルシウムと結合しやすい性質から、血液中のカルシウムを奪っていくため、抗凝固薬として用いられます。
臨床での使われ方とリンクさせて覚えていきましょう!
●タンパク質(ヘムタンパク)と錯体を形成し、鉄の吸収を上昇させる
→ヘム鉄
消化管からの吸収は、ヘム鉄>非ヘム鉄です!
●ビフィズス菌を増殖させ、腸管内pHを下げ、ミネラルの溶解性を上昇させる。カルシウムを運ぶタンパク質(CaBD9K)も増加させる。
→フラクトオリゴ糖
ビフィズス菌の餌と覚えましょう!
体脂肪をつきにくくする系
脂質の吸収を抑制したり、代謝を促進させるメカニズムが主です!
●脂質の吸収を遅延させる
→難消化性デキストリン
また出ました!おなじみの難消化性デキストリンですね!
大体の成分の吸収を遅らせます。
●脂肪の代謝促進作用
→茶カテキン、EPA/DHA
脂質合成転写因子SREBP-1cの核内への移行阻止 (EPA/DHA) や、脂質の分解過程であるβ酸化の促進 (茶カテキン) がメカニズムとして挙げられています。
小難しい範囲なので、簡単に、脂肪の代謝を高めるんだと認識してもらえれば大丈夫です!
●代謝されやすい形の脂肪酸
→中鎖脂肪酸
リンパ管経由で吸収される長鎖脂肪酸とは違い、小腸の血管から吸収されて肝臓にすぐ届くため、すぐにエネルギーとして使うことができます。
骨の健康維持系
基本的に骨吸収を抑制して骨を丈夫に保ちます!
大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンの様な作用を示すことで骨吸収を抑制していると考えられています。
閉経後の女性で骨粗鬆症が多く見られる原因が、エストロゲン分泌量の減少と言われていることと関連させて覚えると、覚えやすいでしょう。
今回は、トクホ成分についてまとめてみました!
かなりややこしい範囲だと思いますが、得点UPはもちろん、合格後の業務でも役に立つ内容だと思います!
トクホ成分でわからないときは参考にして頂けると幸いです。
では、お疲れ様でした!