見出し画像

【日本酒記 その一四】うつつよのどぶろく②

 遠野とスタンドうつつよでは、ともに生でいただいたので、火入れを呑むのは初めてである。早速、スペックとレビューを記す。

ラベル表面
ラベル裏面

うつつよのどぶろく 火入れ

原材料名 米(国産)、米麹(国産米)
アルコール度数 12度
火入れ あり

 ラベルには、悪夢を食べるという伝説を持つバク(獏)が描かれている。伝説や伝承が好きな私からすれば、それだけでも目を惹くラベルだ。背景はピンク色だが、生酒は水色で、火入れはピンク色と使い分けている。前回の記事(【日本酒記 その一四】うつつよのどぶろく①)の画像も参考にしていただければわかりやすいだろう。
 うつつよに伺ったときは、遠野産と大阪産の両方をいただいたが、ともに冷酒で呑んだだけであった。今回、呑んだ温度帯は、冷酒からお燗、そして炭酸割りまで幅広い呑み方を試みた。

コップに注がれたどぶろく

 まずは、冷酒でいただく。見た目の色は、真っ白かと思いきや、少し黄色がかって白濁している。古酒のような黄色ではない。濁っているからそのように見える程度に思っていただきたい。香りはヨーグルトのような濃厚な香り。これだ、これこそ私の知るどぶろくだ。そんな期待感が高まる。
 一口、含んでみた。当然だが粒感がある。上澄の味は甘酒のようだ。粒感をバランスよく口内に取り入れた状態で飲むと、心地良い酸味と甘みが楽しめて、喉越しに心地良い切れ味がくる。歯茎に残る締め付けは余韻に浸れて良い。懐かしい!
 時間をおいて、常温になってからの味の変化を確かめてみる。どぶろくとはいえ、辛口の日本酒らしさが出てくる。飲み口は甘くて切れ味は増す。「ザ・酒」という感じになる。ここから先の燗酒は未知数だ。うつつよでは「どぶ燗」と呼ぶらしい。

燗にして盃に注いだ

 上燗ほどの温度にして、様子を見てみる。口に含むと、どうやら私にとっては適温だったようで、洋食のスープのような感覚で呑める。切れ味のある日本酒の熱燗のように、鼻に抜ける爽快感が出るのかと思いきや、意外にも甘みがさらに強くなり、米の味の強いデザートのような感覚になる。蕩けた温かいチョコレートを飲んでいるような穏やかさだ。恐れ入った。燗酒もなかなかいけてしまう。
 続いて、炭酸で割ってみた。ごくりと、ハイボールを呑むような気分で流し込む。これは・・・。うまい。コップの表面が炭酸で泡立ち、どぶろくは表情を変えた。アルコール度数が低いゆえに、つい呑みすぎてしまうのがご注意、といったところか。それほど呑みやすく、スパークリング感が出て良い。どぶろく初心者には、最もお勧めの呑み方かもしれない。

 二回に跨り、うつつよのどぶろくとの出逢いからお店の訪問、自宅での開栓を振り返った。
 私にとって何より嬉しいのは、あの衝撃を受けた遠野のどぶろくをルーツに持つ新たなどぶろくを、地元の大阪でいただけるということだ。先述の通り、遠野の風を感じたくなれば、こちらをいただけば良い。そして、今後、大阪産は大阪産で、より個性を高め、発展していくことを祈願したい。近いうちに必ず、「日本酒餐昧うつつよ」にも行こう。今回は、そんなことを思った開栓記録だ。

参考、引用元

大阪、鎗屋町の「大阪どぶろく醸造所」無農薬・無肥料の美味しいお酒

いいなと思ったら応援しよう!