【第7節】春から夏へ
いつの間にか桜が散って、年度替わりのバタバタがようやく落ち着いてきた。
この間、鹿児島ユナイテッドFCはアウェー2連戦を戦っていて、ホームゲームは久しぶりになる。
風は強いけれど陽射しには初夏の近づきを感じるような朝だった。
少しだけ迷って、ユニフォームの中に長袖のTシャツを着てスタジアムへと向かった。
ダービーはいい
スタジアムに着いたのはキックオフの2時間ほど前。
バックスタンドに席を確保してからスタグルを食べるためにメインスタンド側へ向かうと思っていたよりも暑かった。
ただ、この日はやけに風が強くて長袖Tシャツをめくるぐらいがちょうどよかった。
天気が良かったからなのか、ホームゲームが久しぶりだったからなのか、ぱっと見、いつもより多くのサポーターたちがスタジアムを訪れていて、スタグルの出店にも列ができている。
今回の対戦相手がお隣の宮崎ということもあって、アウェーサポーターの姿も目立つ。
Jリーグに参入して3年目ということもあって、宮崎のサポーターはまだ少ないけど、対戦を重ねるごとに徐々に増えてきている印象がある。
南九州ダービーらしさが出てきて、やっぱりいい。
この日のスタグルはなんこつチャーシュー丼。
去年は毎回のように食べていた気がするけど、今シーズンは初めて。
久しぶりということもあって、以前食べたときよりおいしかった気がする。
空気を変える
久しぶりといえば、藤本憲明選手だ。
鹿児島ユナイテッドでリーグ得点王になったあとに、J2、J1とステップアップして、今年、ユナイテッドに戻ってきてくれた。
けがで出遅れていたけれど、ようやくベンチに入った。
試合前の選手紹介でもひときわ大きな声援と拍手が響いていた。
出番が訪れたのは後半20分。
ユースから今年トップ昇格を果たした武星弥選手と同時に投入されたのは1-2とリードを許していた時間帯だった。
試合開始直後にミスから失点して、後半に追いついたと思ったら、すぐに勝ち越し点を決められて、いったん盛り上がったスタジアムの雰囲気はまた沈みかけていた。
その空気が変わった。
ビブスを脱いだことに気づいたメインスタンドのサポーターの拍手がバックスタンドにも聞こえた。
藤本選手は以前在籍していたときにもチームメートだった五領選手と抱き合ってからピッチに入った。
前へ進む
試合はその後、3点目を奪われるも、後半30分とアディショナルタイムに2点を奪って引き分けに終わった。
前節はアウェーで最後に追いつかれての引き分け。
この日は最終盤に追いついてのドロー。
どちらも勝点は1だけれど、この日の勝点のほうが重いように思える。
2点目、3点目は藤本選手のアシストで、3点目を決めたのが武選手のプロ初ゴール。
次につながる、前へと進める試合になったはずだ。
鹿児島ユナイテッドは7節まで終えて、勝点9の13位。
優勝・昇格を目指すチームとしては物足りなさもかんじるけれど、幸いに今年のJ3は大混戦。
1位の長野まで勝点差はわずかに5しかない。
季節は移り替わろうとしている。
チームも苦しみながら、きっと進化を遂げようとしている。
その姿を見るためにまた、スタジアムへと足を運ぼう。