#togグラフ ver.2 #14 解説
本記事では #togグラフ ver.2 #14 の正解の発表・解説を行います。
まだ解いていない方は、以下の記事を先にお読みください。
正解だけを見たい方は、目次から「3.1. 正解」に飛んでください。
1. 問題の解説
1.1. 問題
さて、今回の問題は下図でした。
都道府県ごとの「????」の増加量を表す積み上げ棒グラフのようですね。
また、今回は横目盛線が最初から引かれています。
各階層の凡例は「1」「2」「3」「4」となっています。
これらの数字は何かを省略した表記と受け取れるでしょう。
1.2. 増加量
さて、まず北海道だけに注目していきましょう。
3階層 あるように見えます。
これは、凡例「2」の値が 0 か、あるいは限りなく 0 に近いせいでしょう。
凡例「2」は減少しているとも考えられなくはないですが、だとしたら注意書きなく このようなグラフ表現はしないはずなので、その可能性は頭の片隅に置くに留めましょう。
今回のグラフは「増加量」を表しているとグラフタイトルに書かれています。
「増加量」というのは、ある時点から ある時点までに どのくらい数値が増えたかを表しているため、グラフのどこかに時間を表すものがなくてはいけません。
そこで注目したい部分が凡例の「1」「2」「3」「4」でしょう。
これらが時期を表しているとすれば、今「4」のものは「令和4年」でしょう。
平成末の数値を目盛10本分と仮定して、グラフ化したものが以下です。
問題グラフの各都道府県の棒が表していることは、上図のような、令和元年~令和4年の年ごとの増加量だと考えられます。
1.3. 再び問題
グラフの構造が分かったところで、再び問題グラフを見てみましょう。
凡例を前述通りに表記し、降順に並び替えたものが下図です。
気になる点は 令和2年 の増加量がどこも少ないことでしょう。
令和2年 ということは COVID-19 の影響では……というところまでは、すぐに思い当たるのではないかと思います。
しかし、 COVID-19 の影響を受けて減っているとしたら、令和3年・令和4年 も増加量が落ちていてもおかしくないように感じます。
COVID-19 関連の中でも、初期のみ大きな影響を受けたものが題材になっているかもしれません。
例えば、令和3年~4年は「Withコロナ」のコロナ対策が多かったため、大規模な外出自粛要請があったのは 令和2年 のみでした。
COVID-19 が直接的に影響したのではなく、COVID-19 による外出自粛要請等による間接的な影響を受けたと考えれば、 令和2年 だけ増加していないことも自然に思えます。
それから、もう一つ気になる点は、都道府県ごとの増加量や、令和2年以外の年ごとの増加量に、あまり差がないことでしょう。
自然にこのような数値になることはあまりなさそうで、まるで平等にするために人の手が加えられているような、そのような印象を受けます。
また、比較的都会ほど増加量が小さく、田舎ほど増加量が大きいように感じます。
それから、令和4年の増加量は、令和元年・令和3年の増加量よりも、少しだけ増えているように感じます。
ところで、今回の問題のコアジャンルは「生物・家庭」と「現代社会」でした。
つまり、生活に密着したような、政治・経済関連の時事が題材の可能性がありそうですね。
令和2年 に外出自粛の打撃を受けたものの、他の年は毎年ほぼ同じ数値だけ、全都道府県でほぼ平等に増やされている、最近話題の時事のテーマといえば何でしょうか?
2. ヒントの解説
2.1. ヒント①
さて、 ヒント① は下図でした。
問題グラフでは「増加量」という相対的な値を表していましたが、今回は「????」の絶対的な値を表しています。
降順に並び替えて、前節の解説通りや出題時の注意書きをもとに、凡例を追加したものが以下です。
5本目 の目盛線を越えているものは、東京・神奈川・大阪の 3都府県 ですね。
大阪がこれを越えたことは最近ニュースになりました。
問題グラフの増加量は、田舎ほど大きく、都会ほど小さいものでした。
今回のグラフは、都会ほど大きく、田舎ほど小さいと分かりました。
元々小さかったものほど、大きく増加している……格差を是正しているようですね。
2.2. ヒント②
さて、 ヒント② は下図でした。
面グラフが加重平均を、折れ線グラフが最低値・最高値を表しています。
「1」~「4」以外にも「29」「30」というものが公開されたことで、ここまで「令和○年」だと思いついていなかった方も、ここで気づけるのではないかと思います。
やや上級者向けの考え方ですが、「加重平均」という点もポイントで、「単純平均」や「算術平均」と呼ばれる一般的な平均値で扱わず、わざわざ「加重平均」で扱われがちなデータとは何か……ということからも思いつけるかもしれません。
また、最高値が 目盛線5本目 を令和元年に初めて突破したこともポイントで、東京都と神奈川県がそうなったことが当時話題になりました。
2.3. ヒント③
さて、 ヒント③ は下図でした。
凡例が確定し、縦軸の数値が追加されました。
「????の増加量」の具体的な数値が確定したので、「????」の数値も下図のように確定します。
もちろん、加重平均なども以下だと判明しました。
令和元年 (2019年) に東京都・神奈川県で 1000 を突破し、 2020年 には外出自粛などの影響であまり増えず、 2022年 に大阪府でも 1000 を突破したものといえば、何でしょうか?
3. 正解の解説
3.1. 正解
さて、正解画像は以下です。
正解は「最低賃金」でした!
数値は厚生労働省の Webサイト に準拠しています。
3.2. 解説
3.2.1. 令和の最低賃金
平成29年 (2017年) の「働き方改革実行計画」により、 年率3%程度ずつ 最低賃金を増やしていき、 全国加重平均1000円超え を目指すことになりました。
そして、令和元年10月1日、東京都の最低賃金が 1013円、神奈川県の最低賃金が 1011円 となり、初めて都道府県別最低賃金が 1000円 を超えました。
しかし、令和2年 には新型コロナウイルスによる景気低迷を受けて、最低賃金はほとんど変化しませんでした。
令和3年~令和4年 は「Withコロナ」政策によって景気低迷が緩和され、令和4年10月1日、大阪府の最低賃金が 1023円 となり、 3都道府県目 の最低賃金 1000円超え を果たしました。
3.2.2. 最低賃金の歴史
1947年9月1日 に労働基準法が施行され、最低賃金については労働基準法第二十八条に記されていました。
しかし、当時は戦後の混乱により、最低賃金制度が機能しているとは言えなかったようです。
1959年4月15日 には最低賃金法が公布・施行され、以来、労働基準法第二十八条は「賃金の最低基準に関しては、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。」となっています。
東京都の最低賃金は 1977年 では 345円 でしたが、 1988年 に 500円 を超え、前述通り 2019年 には 1000円 を超えました。
3.2.3. 最低賃金の課題
多くの人にとっては賃金は上がれば上がる程に嬉しいと思いますが、何故年に 数%ずつ しか最低賃金が増えないのでしょうか?
最低賃金を引き上げるためには いくつかの課題が存在し、その代表は中小企業への負担増でしょう。
68.2% の中小企業が最低賃金の引き上げを負担に感じているというデータもあります。
前述の「働き方改革実行計画」では、「中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る」ともしていて、中小企業への支援なしに最低賃金の引き上げが難しいことが分かります。
最低賃金を上げすぎると中小企業が潰れ、解雇される労働者も増え、逆に景気が悪くなってしまう可能性があり、そのため、 年数%ずつ 慎重に上げることになってしまっています。
3.2.4. 年収の壁
また、「年収106万の壁」等の年収の壁の存在も課題の一つでしょう。
年収が 103万円 を超えると所得税が課され、年収 106万円 を超えると社会保険料を支払わなければいけなくなる人が出てきます。
また、年収130万円 を超えると家族の扶養から外れることになります。
また、所得税には累進課税制度が採用されています。
年収103万円 を超えると 5% を支払う必要があり、年収195万円 を超えると 10%、年収330万円 を超えると 20% を支払う必要があります。
所得税の税率が 7段階 に区分されているため、年収の壁は所得税だけで 7枚 あります。
こういった「年収○万円以上になると支払わなければいけなくなるもの」が数多く存在するせいで、特定の年収を超える度に、しばらく働き損になってしまうような期間が生じてしまいます。
それを防ぐために、年収を固定して、その範囲で働く人が数多くいます。
最低賃金が増えるということは、その年収に達するまでに働く時間が減るということです。
そのため、最低賃金の引き上げは、労働力の不足につながる可能性もあります。
以上より、最低賃金の引き上げを行うためには、中小企業への支援だけでなく、こういった年収の壁を解消することも必要になってきます。
例えば、年収の壁をもっと細かく分け、年収が 3万円 増えるごとに税率が 0.1% ずつ増えていくような制度になれば、壁を気にせずにたくさん働けるようになるのではないでしょうか。
それぞれの壁で負担が 5% や 10% ずつ大きく跳ね上がるからこそ働くことを控えてしまうけれど、 0.1% ずつしか増えないのであれば、たくさん働いた方が得に思えます。
このように壁を細かく分けることは、行政の負担が大きくなるデメリットもあり、今までは実現が難しかったかもしれません。
しかし、今後マイナンバー制度が当たり前になり、行政のデジタル化を進んでいくのであれば、実現可能になるのではないかと感じます。
今後も日本が発展していくためには、最低賃金の労働者も中小企業の経営者も、どちらの方々の生活も苦しくならないような社会にしていく必要があります。
また、少子高齢化の影響で労働力が不足する未来が約束されているため、すべての人が年収の壁を気にせず、働きたい分だけ働けて、働いた分だけ稼げるような制度が実現されると良いですね。
3.3. おわりに
問題を解いてくださった方々、ありがとうございました。
次の問題は未出題です。
もうしばらくお待ち下さい。
前の問題は以下です。
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