【イベントレポート】安野貴博さん・渡邉正峰先生が語る「意識」とAIの未来
こんにちは、まちづくりにDXで革新をもたらすトグルホールディングス HRユニットシニアディレクター・UT-LAB運営責任者のYoshieです。
UT-LABでは、最前線でご活躍する知識人をお招きし最新の科学的進展とその社会的影響について学び、議論の場を提供するトークセッションシリーズとして「Innovation Dialog」を主催しております。(第1回のイベントレポートはこちら)
第2弾の今回のテーマは「意識とAIの境界線:創作・研究・ビジネスが交差する次世代テクノロジー」
2024年11月28日、この革新的な研究に挑む気鋭の研究者である渡邉正峰先生と、AI技術の最前線でご活躍する安野貴博さんが熱いトークセッションを行いました!
注目の登壇者
会場には先着で申込をされた約20名が集まり、オンラインでも50名を超える多くの方が参加をされました。
司会を務めていただいたのは、フリーアナウンサーの須黒清華さん。
東京大学工学系研究科准教授の渡辺正峰先生は、神経科学の分野で世界的な注目を集めています。ドイツのマックスプランク研究所で10年間の研究に打ち込み、意識の科学に革新的なアプローチを提案し続けています。
AI技術者でSF作家の安野貴博さんは、自然言語処理の専門家・AIエンジニアとしてリーガルテックの分野などで起業を成功させ、またSF小説家としても多くの読者の支持を集めています。一貫してテクノロジーを使った未来について模索されています。
意識研究の最前線
トークセッションは、赤と青のメガネを掛けるところからスタート。この粋なスタートは、渡邉先生による両眼視野闘争という錯覚現象を活用した意識の不思議な本質を体感する試みでした。
「意識とは、客観的な情報処理が起きている時に主観が湧くこと」。この定義をもとに、脳の左右半球がそれぞれ独立した意識を持つという驚きの研究結果をメガネを使ってわかりやすく説明していただき、トークセッションが始まりました。
意識のアップロード構想
渡邉先生の「意識のアップロード」構想は、従来の脳科学研究の限界に挑戦するもの。人間の脳半球と機械を直接接続し、意識の統合を実現するという前代未聞の実験に、10年後の開始を目指しています。このプロジェクトには約300億円を要するとのことですが、成功すれば人類の意識に関する理解を根本から変革するのは間違いありません。
AIと意識の境界-AIが意識を持つ時代は来るのか?
安野:「意識がなかったとしても、人の言動を99%くらい持つことはできる気がするんですよね。それは哲学的ゾンビなんだけど、完全に反応とほぼ同じような挙動をするAIみたいなのできる気がしてて。」
「実用化が始まっているところで言うとAIの遺影ですね。お亡くなりになれた方が写真で飾られている家があるじゃないですか。あれをそのもうちょっとコミュニケーションできるようにしようってしてる会社が中国とか日本にも最近出てきていて。」
「映画とかでもよくありますよね。過去に亡くなった人の写真や映像、日記、よく言ってたセリフとかを全部その業者に渡すと、その業者がそれっぽく反応してくれるAIを作ってくれると。」
「他の例としては、取締役会に参加できない時に自分の代わりに参加してもらうとかですね。そういうビジネス上の応用も出てくると思います。」
「もっと言うと、例えばその権威主義国家のあの権威を持ってる人が、自分が死んだ後もそういう自分のシミュレーションできたAIに権限を委譲して、AIによって様々な命令が下されるみたいなディストピアもありあり得るかもしれない。」
AIと意識の未来
AIの政治参加ー政治ってこの先、人に任せてて大丈夫なのか?
安野:「いい質問ですね。まずは、性能として、人間の政治家を超えることができるんだろうかという問題があって、情報処理みたいなところで言うとまだ負けてます。完全に負けてますけど、勝ち得るかなと思ってます。」
「ただ性能が、結構AIがうまくいってもわかんないなと思うのは、やっぱり人間は、人間が喋っているとか、人間がそれを考えているとか、人間がそれを決めているっていうことに価値を見出すと思うんですよ。」
渡邉:「僕、やっぱり人間に限界があるなと思うのは、やっぱり自分が死んだ後の世界って考えるようにできてないことだと思います。たとえば、人口現象が急激に進んでいるにも関わらず、今はやっぱりどんなに脅されてもまあまあまあまあみたいな感じで、問題を先延ばしにしていますよね。」
AIも意識を持つようになったら、人間と同じように自分第一主義的になるのでは?(会場からの質問)
渡邉:「問題に向き合わないのは、人間がどうせ死んじゃうからじゃないですか。だからAIみたいなものが数万年後、どうにもこうにも生きてなきゃいけないって考えた時に、本気でやっぱり温暖化などの問題と戦いますよね。」
安野:「そういう意味で言うと、なるべく健康で、なるべく長寿を実現すればするほど、なんか長期を見るインセンティブが出てくるなというふうに思いますね。確かに200年後生きてますよって言われたら、その先の未来のことをちゃんと考えます。」
AIによる政治的意思決定は、少数派意見を無視することにつながらないか?(オンラインからの質問)
安野:「AIに政治を任せた場合、最適な判断の"最適"をどう決めるかっていうのが結構難しいですよね。誰かにとって最適だけど、誰かにとって最適でないみたいなことがあるわけで。AIはその目的決めると、そこに向けてがっといろんなものを最適化して進んでいってくれるんですけど、どこに目的やるべきかっていうのは結構難しい。この判断基準の設定こそが最大の課題です。」
意識の統合可能性- 二つの異なる意識を本当に統合できるのか?(会場からの質問)
渡邉:「仮説が正しければ、まさに答えはできるということになります。意識が一体化するのではないかと僕は考えています。」
安野: 「人間によって互換性があるのかについては、その通信のプロトコルみたいなものが、多分右と左の脳の間で通信がされていて、そのプロトコルって人によって違うんじゃないかなっていうふうに、情報技術屋としては思う。なんかOSが全然違っていてみたいな。」
渡邉: 「プロトコルっていうレベルで見ると、神経科学の知見に基けば、そんなに差異はないですね。ただ、例外的にプロトコルに差がある動物はいますが。」と、渡邉先生はBMI技術による神経接続の可能があるとのお答えでした。
お二方には、会場やオンラインからの質問にもたくさん答えていただき、誠にありがとうございました。最前線でご活躍されるお二人に意識とAIの本質について語っていただき、貴重なトークセッションとなりました。
トークセッション後
軽食をしながらのリラックスした雰囲気の中、ネットワーキングタイムでは、参加者の方々は質問しきれなかったことなど直接お伺いするなど大いに盛り上がり、主催者としてはとても安心しました。
また、参加者の方からのアンケート結果からも大変好評で
「中々普段話を聞けないような貴重な話を聞けた」
「最新鋭の話をユーモアたっぷりに語っていただき参加して良かった」
「次回のイベントを楽しみにしている」
とたくさんのポジティブなコメントをいただきました。
UT-LABの取り組み
UT-LABは、AIなどの先端技術で社会課題を解決するプロダクト開発や、次世代起業家の育成に取り組んでいます。メンバーには24時間365日利用可能なコワーキングスペースを提供するなど革新的なプロジェクトを支援し続けています。
今回のイベントが示した未来像は、もはやSFではありません。私たち一人一人が考え、選択していく現実です。未来を創造するプラットフォームとして、UT-LABは、次世代のイノベーションを担う仲間として新たなメンバーを求めています!
メンバーエントリーはこちらから!
次回イベントのご紹介
次回は、第3回経営者のカバン持ちオーディション!
経営の最前線をリアルに体験できるインターンイベントを開催します。
豪華ゲスト経営者陣:
上野山勝也氏(PKSHA Technology代表取締役)
スプツニ子!氏(アーティスト/東京藝術大学准教授)
伊藤嘉盛氏(トグルホールディングス代表取締役)
▼日時: 1/16(木) 19:00開始 @UT-LAB
▼対象:大学生・院生・若手社会人
▼参加費無料
▼応募締切:1/12(日)
▼多数ご応募の場合には、抽選となります。
▼詳細・応募はこちら : https://forms.gle/QPnG9YAJvnqkm9JL6
皆様のご応募お待ちしております!