「本当の退職理由」を会社に伝えて感謝されることも…Xに見る「退職代行サービス」普及の変遷
労働者に代わって退職手続きを請け負う「退職代行サービス」が社会に定着しつつあります。X(Twitter)でも、退職代行に関する話題が尽きません。
退職代行は2017年頃に生まれたサービスです。黎明期から2024年現在に至るまでの話題の変遷を見ると、Xユーザーの間でサービスへの評価も変化していることが見えてきます。
ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」、今回は「退職代行サービスの変遷」について掘り下げます。
2018年頃は「需要の高さが意外」という反応が多かった
2018年9月に「退職代行サービスに予想以上の需要がある」という主旨のニュースが、Xで大いに注目を集めました。当時はまだ「退職代行サービス」を展開している事業者も少なく、社会的な認知度はそれほど高くありませんでした。
ニュースに対するXユーザーの反応は「(サービスを知った)当初はネタかと思ったけど、利用者の感想を見ると予想以上に闇が深かった」「このサービス成長してるのが面白いなあ。日本でだけ成立するビジネスじゃないか」といった、需要の高さを意外に感じる声が目立ちます。
また「代行までせず相談だけ乗ればいいじゃないか」と異議を唱える声も少なからずあり、それに対して「自分でケジメを、は正論だけど退職代行を使わざるを得ない人がいるのもまた事実」と擁護する声が出るなど、サービスの是非をめぐっての議論も活発に行われていました。
退職代行を断っていた弁護士が引き受けるようになった理由は
需要の高まりにつれて、退職代行への考え方が変化したという話もあります。
2022年9月に「退職代行の依頼を最初は断っていたが、最近は引き受けるようになった」という弁護士の投稿が話題を呼びました。
その弁護士は退職代行の依頼が来るようになった当初は「(退職するためには)書面で退職の意志を表明して会社に行かなければいいだけなので、自分でやったほうがいいですよ」と伝えて断っていたそうです。ところが蓋をあけてみると「退職届を出した社員を反射的に懲戒したり、損害賠償を請求する」「社長が家まで怒鳴りこんでくる」といった不適切な対応を取る事業者が思いのほか多いという現状を受けて「最近はお引き受けしています」と書いています。
この投稿に対し「そんな対応をとる企業があるなんて、にわかに信じがたい」と驚く声が多数寄せられましたが、一方で「(退職の手続きにあたり)恫喝と恐喝が基本の会社は割と多いですよ」「常軌を逸した経営者は存在します」と実際に大変な会社と相対したという報告も相次ぎました。同じく士業に携わるXユーザーから「私も受けます。自分で退職できる人はわざわざ弁護士に相談に来ない」という声も。
退職代行の普及に伴って、退職で思わぬトラブルを抱えるケースへの認知・理解が深まっていったという側面もありそうです。
退職代行は利用される会社側にもメリットがある?
退職代行サービスを受けた会社側の反応を垣間見ることができる話もあります。
退職代行サービス「EXIT」の代表取締役・新野俊幸さんが「退職代行のユーザーから受けた退職理由を会社側に伝えると、感謝されることがある」と投稿し、注目されました。
退職にあたって本当の理由を隠し、会社側に嘘の理由として「親の介護のため」「実家を継ぐため」といった事情を伝える人は多いもの。新野さんによると、退職代行サービスを介すると「上司の○○さんが高圧的で」といった利用者の本音の退職理由を聞き出すことができ、会社側に「本当の退職理由」を伝えた結果、担当者から感謝された、というケースがよくあるそうです。
この投稿に対して「正直な退職理由を言うと辞めるその日までいじめ抜かれるからなぁ」「退職届に本当の理由(事業所がブラック体質)を書いたら事業所長に書き直しさせられました」など、退職にあたって本当の理由を伝えるハードルの高さが伺える体験談が相次ぎました。
また「会社が嘘の理由を信じて、『社内には問題がない』と思ってるパターンもあるだろうから、教えてあげることに価値はありそう 」「職場の環境を改善したいと考えている企業からみると、かなりありがたい気がする」と退職代行サービスを利用された会社側へのメリットに理解を示す声も少なくありません。
Xで注目される「退職代行」の話題をたどると、さまざまな関係者の視点を通じて、退職代行サービスが社会に定着しつつあるその背景が見えてきます。
同時に、退職代行サービスの普及に伴って浮かび上がってくるさまざまな社会的課題への議論は今後も尽きることがなさそうです。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」でした。次回もお楽しみに。