中学最凶の不良に滑稽な展開で殺されかけた話
中学時代、1個上の先輩にマサキくん(仮名)という学校最凶のヤンキーがいました。
この人は授業も来ないしトイレでタバコ、注意した先生も殴り飛ばす、大人でも抑えつけるのが大変な不良でした。朝倉未来のような見た目で、朝倉未来のようなケンカの強さでした。
母校ではあっという間に1位になったので、他校のヤンキーをタイマンで倒し続けていました。たまたま道端で携帯電話で話しているマサキくんとすれ違ったことがありますが、「栃木の◯◯は強ええの?」とか言ってて震え上がったことがあります。なぜ東京23区の中学生が栃木の中学生と戦うのだ、、、
僕ら平凡な生徒たちは、マサキくんに目をつけられないよう、息を潜めて暮らしておりました。でもマサキくんはカツアゲなどはしない、筋の通った不良でした。
弱い者イジメはしない硬派だったのです。
しかしある日の五分休み、クラスメイトのメガネくんが教室で大泣きしていました。どうやらマサキくんにやられてしまったそうなのです。
あのマサキくんが弱い者イジメ!? そんなことがまかり通るなら僕らの平和がなくなってしまう。僕らチー牛予備軍はメガネくんから詳細を聞くことにしました。
どうやら今日マサキくんは、オシャレをしようとして、上履きの代わりに下駄を履いて校舎を歩いているそうです。
メガネくんはマサキくんと廊下ですれ違った時に、たまたまマサキくんの隣にバドミントン部の先輩がいて、ニコッと笑いかけて挨拶したそうです。
「オメーいま俺の下駄を笑ったろ!!!!!」
「え?」
メガネくんは聞き返す間もなく太ももに膝蹴り腹にパンチを入れられ廊下でうずくまったそう。
「だせーんだよ、人を馬鹿にする奴」とマサキくんは去っていったそうなのです。
要は完全にマサキくんの勘違いです。メガネくんはただ部活の先輩に微笑みかけただけなのに、、、。上履きの代わりに下駄を履いて校舎を練り歩くという奇抜なファッション、流石のマサキくんもちょっと緊張しているのか、かなり神経質になっているご様子。
絶対にマサキくんとすれ違っても笑ってはいけない、、、。小市民たちは固く心に誓うのでありました。
その日の授業中、お腹が痛くなった僕は、3階の教室を抜けて1階のトイレに向かっていました。
なぜわざわざ1階のトイレを選んだかというと、3階のトイレだとおしっこしにきた同級生とバッタリ遭遇してしまい、大便を冷やかされる可能性があるからです。
1階のトイレはクラスの教室がないので、授業中に使われることはまずありませんからね。人気の少ない静かな廊下を早歩きで進みます。
この長い廊下を真っ直ぐ進み、右に曲がればトイレはすぐそこ。すると前方から、
カコッ カコッ カコッ カコッ
明らかに下駄の音が響き渡ってきて心臓が止まりました。
カコッ カコッ カコッ カコッ
廊下を右に曲がった所を歩いているのでしょう、マサキくんの姿はまだ見えていません。
しかしこのままだと確実にすれ違う。マサキくんの下駄を見ても笑ってはいけません。笑ったら殺されてしまいます。もはや怪談です。
カコッ カコッ カコッ カコッ
いや面白すぎるwwwwwwwww
下駄で廊下歩くとこんな五月蝿いのかよwww
だいたいなんで学校に下駄履いてきてんだよ鬼太郎かよwwww どうしたらそれがオシャレになるんだよ笑わない方が無理だろ笑笑笑
僕はもうマサキくんに出会う前から、もう下駄の音だけで爆笑してしまったので、慌てて廊下を引き返し、階段を登って死に物狂いで逃げ出しました。
みなさんも下駄を履いてふんぞり歩く中学生の朝倉未来を想像してみて下さい。笑ったら殴られると想像してみて下さい。絶対我慢できませんから、、、
トイレは3階で済まして事なきを得ました。きっとマサキくんも、1階のトイレで用を足すかタバコでも吸いたかったのだろうと思います。
マサキくんは3日もしないうちに下駄を履くのを辞めてしまったようです。流石に激ヤバということに気づいたのでしょう。
もしかしたら自分の足音が五月蝿くて嫌になっちゃったのかもしれません笑笑笑
でも、怖かった〜、、、