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女3人の修羅場を天才チャラ男が信じられない方法で食い止めた話


中学生の時、昔やってたテレビの企画、「信号確認ゲーム」で遊ぶことになりました。


めっちゃ簡潔に説明すると、「赤・赤・黄色」と言われたら、「リンゴ・リンゴ・レモン!」と言われた色の何かを叫び、


「赤・赤・赤」
と3つ同じ色が出題された場合は、「リンゴ・イチゴ・ポスト!」と違う3つの何かを叫ばなければならない、というゲームです。


瞬発力が大事で、けっこう大変で、スリリング。


これを昼休みの教室の窓側、男5人で遊んで騒いで盛り上がっていました。



「おめーいい加減にしろよ!」


すると教室の廊下側の方から、女の子の甲高い怒鳴り声が響き渡りました。


遊びながら目をやると、小倉さん(仮名)という女の子が机に座って震えています。そしてその子を取り囲むかのように、牧田さん(仮名)と伊藤さん(仮名)が仁王立ちでのさばっています。


その3人の女子はクラストップのカーストの仲良しグループで、可愛くてダンスも上手くてモテる、きゃぴきゃぴした女の子たちでした。


本来こんな険悪なケンカムードになることなど、ありえないことなのです。


クラスのみんなも、信号確認ゲームをしていた僕ら男子5人も、そのオンナ3人の修羅場が気になって仕方ありません。


周囲の目を気にした彼女たちはそこから小声で言い争うようになってしまい、もうどんな話をしているかさっぱりわからなくなってしまいました。


好きな男の子の取り合いか、はたまた陰口を言っていたのがバレたのか、、、。想像は膨らみますし、2対1という構図もなかなか危険です。髪の引っ張りあいや掴み合いになってしまったらどうしよう、という懸念も。


「おい、続きやるぞ続き!」


しかし一緒に遊んでいた、小学生の時から中学生の女の子と付き合っていた凄腕のチャラ男は、女の子3人のケンカなど気にも止めず、悠々自適に信号確認ゲームをやりたがりました。


正直もうそんなのどうでもいいだろという気持ちだったのですが、ゲームが再開されます。


「青、青、緑!」

「海、海、キュウリ!」

「黄色、黄色、黄色!」

「レモン、キリン、阪神!」

「オレンジ、オレンジ、赤!」

「蜜柑、蜜柑、ポスト!」

僕はゲームをやりつつ、ずっと耳を澄まして小倉さんと牧田さんと伊藤さんの小競り合いを聞こうとしていました。もうなんか、泣き声とかも聞こえてくるのです。


こんなゲームやってる暇はない。


もう終わらせて、小倉さんたちの修羅場に聞き耳を立てよう。そうみんなに提案しよう。決心した僕は、僕の次の番のチャラ男に激ムズなお題をぶっ込んで、彼を負かしてやることにしました。




「ムラサキ、ムラサキ、ムラサキ!」


これを瞬間で答えられる人がどこにいるでしょうか? さあチャラ男よ、このゲームを終わらせるのだ、、、!


しかしチャラ男は、誰もが予想できない答えを大声でぶちかましたのです。




「小倉のパンツ! 牧田のパンツ! 伊藤のパンツ!」







「は?いまなんつった!?」


いの一番に反応したのは小倉さんに対して怒っていた牧田さんでした。




「小倉のパンツ、牧田のパンツ、伊藤のパンツ! 3人ともムラサキだったりしない?」


そう言いながらもうチャラ男は、女3人の修羅場の所に飛び込んでいました。



「本当は仲良しの3人なんだから、パンツの色も一緒だと思って〜〜〜〜!!!」



「っざけんな、いまそんな状況じゃねーだろ!」


牧田さんがブチギレますが、凄い、もう牧田さんの怒りは小倉さんからチャラ男に向いている。



それからチャラ男は、ヘラヘラと3人の話に介入して、数分で怒っている牧田さんと伊藤さんを冷静にして、泣いていた小倉さんを宥めて、感情的にならないように場を取り持ったのでした。



ただ、こそこそ聞き耳を立てたかっただけの小市民の僕と、



初めは女子のプライバシーを尊重してスルーするも、泣き声が聞こえてきたら強引にでも解決しようと飛び込みにいったチャラ男。


人間としての器が違いすぎる!!!!!!



かっこよかった〜! 僕は大人になった今でも、当時の中学生のチャラ男に人間力で勝てる気がしません。


「ね、ねえ、あの子たち結局なんで揉めてたの?」


事態がおさまった後、興味津々の僕はチャラ男に尋ねました。


「あ? プライベートだから内緒だよ!」



チャラ男のくせにそういうとこちゃんとしてるんだよな〜〜〜!!!!!



おしまい





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トゲ(弱者エッセイ)
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