平成の毒舌女子 ナンシー関
アマゾンのKindleUnlimited(電子書籍の読み放題サービス)で、ナンシー関さんの本を見つけた。すぐにダウンロード。
ナンシー関さんは、消しゴム版画家であり、コラムニスト。
テレビを中心に、芸能界をシニカルに、非偽善的に、軽妙にぶった切る。芸能人という絶対善に対するメタ的批評は痛快という他なかった。
10代後半から20代前半の頃、本屋にナンシー関さんの本を見つけると躊躇なく買っていた。私の中でナンシー関さんを超えるコラムニストは、後にも先にもいないと断言できる。
そんなナンシー関さんであるが、2002年に突然に死んでしまう。もの凄いショックだった。
享年39歳。憧れの作家だったが、私の方が年上になってしまった。
今回読んだのは「お宝発掘!ナンシー関」。
一番面白かったのが「自分が傷つかないケンカを見るほどおもしろいものはない」。週刊誌が度々取り上げる「他人のケンカ」に対する批評。
以降、抜粋。
『他人のケンカはおもしろい。絶対に自分にはとばっちりが来ないという距離を置いて、見物するケンカは「娯楽」である。その娯楽性の原因は「ケリが入った」「あ、ウラ拳入った」という非日常的な動作に対する興味や物見高さ(これを〝論争〟に置き換えるなら「そこまで言うか」という情け容赦の無さや、挑発的なもの言い、時に故意の極論などになるのだろうか)もあるだろうが、もうひとつ「自分は絶対的安全地帯にいる」という優越感によるものとは言えないだろうか。それは、とても下世話な快感なのかもしれない。鬼ごっこの最中、鬼が自分以外の人を必死で追いかけ回している時のとてつもない安心感は、鬼に追われている人の焦燥感や圧迫感を感知することと引きかえに湧き上がるものである。・・・』
毒があるのに、妙に論理的で、本質を突いていて、哲学的でもある。
返す返すも亡くなったのは残念至極。
ナンシー関さんの令和時代論を聞きたかった。。。