長期修繕計画の費用概算ロジック
概要
マンションの理事として長期修繕計画のガイドラインを作成した。今後長期修繕計画を健全に運用していくには大規模修繕の適切な時期を未来の理事会が判断できる必要がある。理事会メンバーは住人の当番制で建築素人のため間違った判断をしやすい。そのため未来の理事会が大規模修繕の大体の時期を決める指標となるものを作成する。
以下値は概算であり、カスタマイズする前のデフォルト値となるため精度は低くて良い。
条件
入力が簡単であること
大体大規模修繕をいつやればいいかわかること
アウトプットイメージ
ロジック
大規模修繕工事
周期: 15年
費用: 大規模修繕工事費用 = 延べ床面積(m2) * 1.5万円
周期については平均は13年だが長い方が1回の大規模修繕にかけられる費用が大きくなり長期的な目線で得をするので15年とした。自分のマンションで13年は短すぎるという話になったため。
https://www.mlit.go.jp/common/001234283.pdf
それ以外の修繕積立金用途
修繕積立金の平均額から期間中の総額を割り出し、そこから大規模修繕工事費用を引く
周期: 毎年
費用: 長期修繕計画の合計金額 - 大規模修繕工事費用(2回分)
長期修繕計画の合計金額
= (階数・延べ専有床面積から適当な月額の専有面積あたりの修繕積立金) * 延べ専有面積 * 12ヶ月 * 30年間
大規模修繕工事費用 = 前項目で算出した値
https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf
出してみた
本当にこれでちゃんといくか疑問なので、上記ロジックで算出された値が、建物診断と実施設計から算出した既存の見積もりに合っているか確認する。
ロジックに利用する情報
総延床面積: 13775m2
大規模修繕費用
計算ロジック
大規模修繕費用(1回分): 137750000 * 1.5 = 206625000 = 2.06億円
既存の見積もり
大規模修繕費用(3回目): 約2億円
大規模修繕費用(4回目): 約2.7億円
4回目の方は窓交換があり7000万円高くなっていた。これはその他に入れるとして、大体2億円で計算ロジックは合っているようだ。
その他の修繕積立金用途
計算ロジック
(271 * 13775 * 12 * 30 - 206625000*2) / 30 = 31021300 = 3100万円
既存の見積もり(大規模修繕の年2年を除いた28年の平均。8年分の実績値を含む)
15443000 = 1544万円
かなり乖離した。うちのマンションは倹約が上手な様だ。それとも既存の見積もりが甘めなのか?
計算ロジックで利用した「階数・延べ専有床面積から適当な月額の専有面積あたりの修繕積立金」を平均値ではなく「事例の2/3が包含される幅」の下限で計算した。
計算ロジック
(200 * 13775 * 12 * 30 - 206625000*2) / 30 = 19285000 = 1928万円
既存の見積もり(大規模修繕の年2年を除いた28年の平均。8年分の実績値を含む)
15443000 = 1544万円
まぁこれでよしとしよう。
結論
30年分の長期修繕計画は大体以下のロジックで見積もれる。
大規模修繕工事
周期: 15年
費用: 大規模修繕工事費用 = 延べ床面積(m2) * 1.5万円
大規模修繕工事以外の用途
周期: 毎年
費用: 長期修繕計画の合計金額 - 大規模修繕工事費用(2回分)
長期修繕計画の合計金額
= (階数・延べ専有床面積から適当な月額の専有面積あたりの修繕積立金) * 延べ専有面積 * 12ヶ月 * 30年間
ただし「階数・延べ専有床面積から適当な月額の専有面積あたりの修繕積立金」は以下の「事例の3分の2が包含される幅」の下限値を使う。
これを読んだ理事へのお願い
自分のマンション以外で当てはまるか試し、ロジックを改良したいです。他のマンションでこれが当てはまるか試したらシェアしていただけると大変嬉しいです。
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