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やっぱり本は紙派
今日、京都の緊急事態宣言がどうやら解除されそうで、よかった。自粛期間は当分続くんだろうけど、少しは肩の力を抜けそうだ。
この期間、手当たり次第に本を読んでやると思っていたけれど結局1冊しか読めなかった。それもスマホで選んだ電子書籍1冊。レビューが気になりなかなかレジに進めないことが分かった。
スマホアプリで小説を読んだのは初めてだったけど、「本は紙派」が当分揺らぎそうにない。スマホの中に入っているので所持しているという感覚はないのが寂しいけど、本自体の面白さと歴史的な瞬間に読んだ本ということで思い出の1冊にはなりそうだ。
僕の父は本好きで、実家の父の部屋は床から天井、入り口から出口まで、ぐるりと三方を巨大な本棚が囲む。いわゆる書斎だ。どの本棚を見ても上から下までギッチリと本が詰まっている。
子供の頃、本はほとんど読まなかったけど、この書斎がなぜか居心地よく、中学・高校時代、しょっちゅうこの部屋で昼寝していた。古くなった本の埃っぽい匂いを嗅ぎながら、だけど本を開くこともなくヒンヤリとした床に大の字になるとじきにうとうととしてくる。
ある日同じようにうとうとしてると静かに部屋の戸が開いた。目をつぶったまま耳を済ませると「寝とるんか」小声でそう呟いた。大好きだったおじいちゃんだ。しばらく本棚を眺めて2、3冊の本を手に取り、すっと部屋を出て、また静かにゆっくりと戸を閉めた。
電話で話せないくらいに耳がすっかり遠くなってしまったのに、寝てる僕を気遣って音をできるだけたてまいとする所作に、おじいちゃんの優しさや気遣いを感じた。おじいちゃんのやさしい仕草を薄目で見てたのが、平和で暇だった思春期の頃の忘れられない思い出だ。
もし今回の騒動の期間を実家で過ごしていたら、書斎で寝てばかりいたんだろうなあ、本かスマホ片手に。