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147.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第23節「国民的ブームを呼んだ1980年代東映動画作品③」
1985年12月、「ドラゴンボール」が人気を集める集英社『週刊少年ジャンプ』にて、1986年1・2合併号から新たな連載が始まり話題を呼びました。
「リングにかけろ」の人気マンガ家車田正美が描く「聖闘士星矢」です。
星座やギリシア神話をモチーフにしたこの作品では、女神アテナに仕える、各守護星座を象った聖衣(クロス)という鎧をまとう美しい聖闘士(セイント)たちと邪悪な敵闘士との闘いのストーリーが華麗に描かれました。
⑥テレビ朝日系土曜19時『聖闘士星矢』(1986/10/11~1989/4/1 全114話)
東映動画は、連載が始まるとともにバンダイをスポンサーにアニメ化を進め、10月からテレビ朝日土曜19時枠にて『聖闘士星矢』の放映が始まります。
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©車田正美/集英社・東映アニメーション
東映とテレビ朝日の共同製作、東映エージェンシーが枠のスポンサーを集めたこの作品は、東映動画の籏野義文、横山和夫がプロデューサーを担当し制作、テレビ朝日プロデューサーは加藤守啓、川田方寿でした。
シリーズ構成は小山高生、キャラクターデザインには荒木伸吾と姫野美智、美術デザインは窪田忠雄で、シリーズディレクターには森下孝三、主人公の星矢役に声優古谷徹を起用します。
音楽は横山菁児、オープニングテーマ「ペガサス幻想」(作詞竜真知子 / 作曲松澤浩明、山田信夫 / 編曲MAKE-UP)、エンディングテーマ「永遠ブルー」(作詞竜真知子 / 作曲松澤浩明、山田信夫、河野陽吾 / 編曲MAKE-UP)ともにロックバンドのMAKE-UPが歌いました。
テレビ放映が始まると子供層だけでなく若い女性層の人気も得て大ヒット。バンダイが発売したフィギュアシリーズも爆発的に売り上げを伸ばします。
第48話からシリーズディレクターの森下孝三が横山和夫に代わってプロデューサーに転進、第74話北欧アスガルド編から菊池一仁が森下の後を継ぎシリーズディレクターとなり、主題歌も影山ヒロノブ歌うオープニング「聖闘士神話 〜ソルジャー・ドリーム〜」(作詞只野菜摘 / 作曲松澤浩明 / 編曲BROADWAY)、エンディング「夢旅人」(作詞許瑛子 / 作曲影山ヒロノブ、須藤賢一 / 編曲BROADWAY)に替わりました。
第100話海皇ポセイドン編からプロデューサーは籏野義文が単独で担当し、森下孝三は『ドラゴンボール』のプロデューサーに異動します。
劇場版アニメ『聖闘士星矢』では、
1)1987年7月18日公開「東映まんがまつり」配給収入(配収)8億円
『聖闘士星矢 邪神エリス』脚本:菅良幸、監督:森下孝三(45分)
2)1988年3月1日公開「東映まんがまつり」配収8.2億円
『聖闘士星矢 神々の熱き戦い』脚本:小山高男、監督:山内重保(46分)
3)1988年7月23日公開 同時上映『魁!!男塾』配収2億円
『聖闘士星矢 真紅の少年伝説』脚本:菅良幸、 監督: 山内重保(75分)
4)1989年3月18日公開「東映まんがまつり」配収6億円
『聖闘士星矢 最終聖戦の戦士たち』脚本:菅良幸、監督:明比正行(45分)
1988年にはフランスの民放局PF1でテレビ放映が始まり、初回視聴率は30%を記録しいきなりの大ヒット。バンダイフランスが発売した玩具も爆発的に売れました。
大ヒットした『聖闘士星矢』は、1989年4月までおよそ2年6ヵ月全114話続き、東映動画制作水木しげる原作『悪魔くん』にバトンタッチしました。
テレビ放映が終了しても『聖闘士星矢』人気は高く、1991年8月には、デビュー間もないSMAP主演で「バンダイスーパーミュージカル『聖闘士星矢』」が開催され多くのファンを動員します。
ちなみに、ペガサス星矢:中居正広、ドラゴン紫龍:草彅剛、キグナス氷河:森且行、アンドロメダ瞬:香取慎吾、フェニックス一輝:稲垣吾郎、海皇ポセイドン / ジュリアン・ソロ:木村拓哉という配役で、後にミュージカル「美少女戦士セーラームーン」を立ち上げた東映動画事業部長の斉藤柳太郎がチーフプロデューサーでした。
21世紀に入り、新たに劇場版『聖闘士星矢』が公開されます。
5)2004年2月14日公開
『聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜』脚本:横手美智子・大和屋暁、監督: 山内重保(83分)
また、2012年4月からテレビ朝日系にて東映アニメーション(元東映動画)制作『聖闘士星矢Ω』(2012/4/1~2014/3/30 全97話)が放映され、2014年には東映系にて劇場版も公開しました。
6)2014年6月21日公開
『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』脚本:鈴木智尋、監督: さとうけいいち(93分)
その後も「聖闘士星矢シリーズ」は、東映アニメーション制作にてNetflixや海外での実写映画製作など国内外で大きく展開されています。
⑦テレビ朝日系土曜19時『悪魔くん』(1989/4/15~1990/3/24 全42話)
『聖闘士星矢』に続くアニメ版『悪魔くん』は、かつて東映平山亨プロデューサーが実写ドラマ化し、1966年10月から翌67年3月までNET(現・テレビ朝日)系にて放映されていました。
平山は、1986年にもフジテレビ月曜ドラマランド枠の単発ドラマとして製作、9月に放映され13.7%の視聴率を獲得しています。
1987年7月には、東映ビデオから同じ水木原作「ゲゲゲの鬼太郎」とジョイントしたオリジナルビデオ『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝・魔笛エロイムエッサイム』(企画:吉川進、吉田達・監督:小林義明)が発売されました。
そして1989年4月、『聖闘士星矢』の後継番組として東映動画制作アニメ『悪魔くん』が始まります。
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©水木プロ・東映アニメーション
企画は東映動画横山和夫と東映エージエンシー釘丸彰、テレビ朝日プロデューサーとして川田方寿が担当し、小山高生、菅良幸、岸間信明などが脚本を手掛けました。
制作のメインスタッフとして、シリーズディレクター佐藤順一、キャラクターデザイン鈴木欽一郎、美術デザイン椋尾篁、音楽青木望を起用します。
オープニングテーマ「悪魔くん」(作詞森雪之丞/作曲・編曲つのごうじ)はこおろぎ'73とWILD CATS、エンディングテーマ「12FRIENDS」(作詞森雪之丞/作曲・編曲つのごうじ)はY.F ZOMBIE COMPANYが歌いました。
放映が始まると初回視聴率は約10%、その後推移し、およそ1年間全42話続きます。
その間、劇場版『悪魔くん』が
1)1989年7月15日公開「東映まんがまつり」配給収入(配収)7.2億円
『悪魔くん』脚本:菅良幸、監督:佐藤順一(40分)
2)1990年3月10日公開「東映アニメまつり」配給収入(配収)9.5億円
『悪魔くん ようこそ悪魔ランドへ!!』脚本:菅良幸、監督:佐藤順一(40分)
2作品公開されました。
1990年4月の終了後、東映動画制作『もーれつア太郎』(第2作)がテレビ朝日系土曜19時枠を引き継ぎます。
そして1991年1月の『きんぎょ注意報』に続き、1992年3月からこの枠にて『美少女戦士セーラームーン』が登場しました。
2023年、東映アニメーション(元東映動画)制作のWEBアニメ『悪魔くん』(総監督佐藤順一)がNetflixにて配信され人気を博しています。
⑧朝日放送・テレビ朝日系日曜8時30分『ビックリマン』(1987/10/11~1989/4/2 全75話+SP1話)『新ビックリマン』(1989/4/9~1990/8/26 全72話)
1977年10月に発売が始まったロッテのシール入りチョコレート菓子「ビックリマンチョコ」。1985年8月から第8弾「悪魔VS天使シール入り!」が登場すると子供たちの間で一大ブームを巻き起こしました。
このブームを受け東映動画は、山口康男の企画でアニメ化を目指します。
そして1987年10月、朝日放送・テレビ朝日系日曜朝8時30分『新メイプルタウン物語 パームタウン篇』後半8時45分からの15分、2週にわたる前後編番組として『新メイプルタウン物語とビックリマン』のタイトルで放映が始まりました。
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©LAD・NAS・東映アニメーション
プロデューサーは『新メイプルタウン物語 パームタウン篇』と同じ鍋島進二(朝日放送)、春日東(旭通信社)、亀山泰夫(旭通信社)。シリーズ構成には富田祐弘、シリーズディレクター貝沢幸男、キャラクターデザイン青山充、美術デザイン浦田又治、音楽有澤孝紀が担当します。
オープニングテーマ 「ドリーミング・A・Go-Go」(作詞吉元由美 / 作曲タケカワユキヒデ / 編曲KAZZ TOYAMA)は小橋二郎、エンディングテーマ - 「スーパーウォーズ」(作詞吉元由美 / 作曲タケカワユキヒデ / 編曲KAZZ TOYAMA)は織田純一郎が歌いました。
子供たちが待ち望んだ「ビックリマン 悪魔VS天使シリーズ」の世界を再現したアニメは大ヒット。1988年1月の第13話からは30分1話完結の『ビックリマン』単独番組となります。
子供たちに大人気の『ビックリマン』は高視聴率を維持し、1年半全75話とSP1話続きました。
その間「東映まんがまつり」において劇場版として
1)1988年3月12日公開「東映まんがまつり」配給収入(配収)8.2億円
『ビックリマン 第一次聖魔大戦』脚本:富田祐弘、監督:角銅博之(30分)
2)1988年7月9日公開「東映まんがまつり」配給収入(配収)6.3億円
『ビックリマン 無縁ゾーンの秘宝』脚本:富田祐弘、監督:佐藤順一(30分)
2作品公開されます。
そして1989年4月に終了した後、同じ世界観を引き継ぐ『新ビックリマン』が始まりました。
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©LAD・NAS・東映アニメーション
企画が七條敬三、音楽は菊池俊輔に替わりますが、他のメインスタッフは前作に続き制作にあたります。
オープニングテーマ「セント・ジュエルを探せ!」(作詞森由里子 / 作曲タケカワユキヒデ / 編曲山本健司)は声優陣のワッPズ(藤田淑子、久川綾、塩沢兼人、千葉繁)、エンディングテーマ「やっぱビックリマン!!」(作詞谷穂ちろる / 作曲本間勇輔 / 編曲山本健司)はニッチモ、SHINESが歌いました。
前作に引き続き『新ビックリマン』も朝番組としては極めて高い平均視聴率14.1%を記録、大ヒットします。
この作品も1年5か月全72話続き、1990年8月で終了。9月から東映動画制作『まじかる☆タルるートくん』(江川達也原作)が引き継ぎました。