136.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第18節「東映動画の躍進 ②フジテレビ巨大ロボットアニメブーム」
1972年12月、フジテレビ日曜19時枠にて放映した永井豪とダイナミックプロ原作の『マジンガーZ』(1972/12/3~1974/9/1 全92話)は大ヒットし、巨大ロボットアニメ人気に火が付きました。
1974年4月からフジ木曜19時枠で始まった永井豪・石川賢とダイナミックプロによる『ゲッターロボ』(1974/4/4~1975/5/8 全51話)も続けて好評を博し、ロボットアニメ人気が続きます。
⑥日曜19時『グレートマジンガー』(1974/9/8~1975/9/28 全56話)
Dr.ヘル率いる地下帝国と闘いを繰り広げた『マジンガーZ』。その真っ只中である第62話から、約3,000年前にギリシア一帯を支配していた古くて新しい敵ミケーネ帝国が徐々に姿を現してきました。
1974年7月の「東映まんがまつり」ではミケーネ帝国の暗黒大将軍が登場しマジンガーZが戦闘獣たちと戦う『マジンガーZ対暗黒大将軍』が公開され、新ヒーロー「グレートマジンガー」も登場します。
Dr.ヘルと地下帝国は『マジンガーZ』第91話で滅び、最終回である第92話は、新巨大ロボットも登場、次に続く新番組の実質的な第1回とも言える回でした。
9月、続編となる『グレートマジンガー』が始まります。
そして1972年12月の『マジンガーZ』放映開始から着々と打たれてきた布石ミケーネ帝国が強大な敵として出現しました。
前作同様に、製作は東映と旭通信社(旭通・現ADKホールディングス)、企画を横山賢二(東映動画)、春日東(旭通信社)、別所孝治(フジテレビ)が担当し、東映動画(現東映アニメーション)が制作しました。
メインライターも同じく高久進(たかくすすむ)、メイン演出は東映京都撮影所演出部出身の勝間田具治、キャラクターデザインは前作の後半を受け持った森下圭介が手掛け、主題歌も『マジンガーZ』と同じく作詞 小池一雄 、作曲編曲 渡辺宙明で作った歌を水木一郎が激しく歌います。
放送が始まると、初回22.6%と前作を上回る高視聴率を獲得、その後も番組は1年を通じ極めて好調に推移し、平均視聴率は22.8%、最終回は27.2%の最高視聴率を記録するなど大ヒットしました。
「東映まんがまつり」でグレートマジンガーは、
『マジンガーZ対暗黒大将軍』(1974年7月25日公開 西沢信孝監督)
『グレートマジンガー対ゲッターロボ』(1975年3月21日公開 明比正行監督)
『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』(1975年7月26日 明比正行監督)
『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』(1976年3月20日 葛西治監督)
『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』(1976年7月18日 明比正行監督)
5作品に登場しました。
しかし、前作に比べると玩具の売り上げが伸びず、スポンサーの意向もあり、続く「マジンガーシリーズ」のキャラクターは、地球上の戦いである「マジンガー」の世界観から宇宙で活躍する巨大ロボットに変わります。
⑦木曜19時『ゲッターロボG』(1975/5/15~1976/3/25 全39話)
『グレートマジンガー』が高視聴率を上げていた1975年5月、もう一方の人気ロボットアニメ『ゲッターロボ』の続編として『ゲッターロボG』がスタートしました。
この作品は、前作に引き続き永井豪・石川賢とダイナミックプロの原作で、別所孝治(フジテレビ)、勝田稔男(東映動画)、小田克也(東映動画)が企画し、メイン脚本高久進、メイン演出小湊洋市、生頼昭憲、キャラクター設計は小松原一男が担当。
3人の若者が操縦する3機の乗り物が合体して巨大ロボットになる設定は変わらず、主人公3人のうち2人は前作から引き続きの登場となります。
前作の最終回で炎上した「ゲッターロボ」に代わり、新たなるゲットマシンドラゴン号、ライガー号、ポセイドン号が合体することで誕生する巨大ロボット「ゲッターロボG」は、デザインも変わり能力も大幅にアップ。世界征服を狙うブライ大帝が支配する新たなる敵百鬼帝国と戦いました。
作詞永井豪 、作曲編曲菊池俊輔でささきいさおが歌う主題歌は前作と同じ曲『ゲッターロボ!』がそのまま使われます。
『ゲッターロボG』は多くの子供たちに強い印象を残し、全39話で終了しました。
「東映まんがまつり」でゲッターロボGは、
『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』(1975年7月26日 明比正行監督)
『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』(1976年7月18日 明比正行監督)
2作品に登場しました。
⑧日曜19時『UFOロボ グレンダイザー』(1975/10/5~1977/2/27 全74話)
『ゲッターロボG』が放映中の1975年7月、「東映まんがまつり」にて 永井豪とダイナミックプロ原作の劇場用オリジナル短編アニメ映画『宇宙円盤大戦争』が公開されます。
有賀健と「ゲッターロボシリーズ」の勝田稔男が企画、上原正三脚本、芹川有吾演出、主人公デュークフリードの声はささきいさおが担当しました。
「空飛ぶ円盤 (UFO) ブーム」に合わせて企画されたこの映画には、円盤とロボットが合体するというコンセプトが用いられ、円盤・スペイザーとデュークフリートが操縦する巨大ロボット・ロボイザーが合体してガッタイガーとなります。
上原正三が脚本、芹川有吾が演出、主人公デュークフリードの声はささきいさおが担当したこの映画は、短いストーリーの中で様々な要素が凝縮された濃厚な作品でした。
10月、フジテレビ日曜19時『グレートマジンガー』の後番組として、『宇宙円盤大戦争』の名前デュークフリードなどを受け継いだ「マジンガーシリーズ」第3弾『UFOロボ グレンダイザー』が始まります。
この作品では東映動画の企画者が、これまで『マジンガーZ』『グレートマジンガー』と「マジンガーシリーズ」を担当してきた横山賢二から「ゲッターロボシリーズ」の勝田稔男に代わりました。それとともにスタッフも、メイン脚本上原正三、メイン演出勝間田具治、作画監督小松原一男、その他「ゲッターロボチーム」の班が分かれて制作を受け持ちます。
ちなみに、横山賢二のチームは、同じく10月からテレビ朝日日曜18時枠で始まった 永井豪・安田達矢とダイナミック企画原作の巨大ロボットアニメ『鋼鉄ジーグ』(1975/10/5~1976/8/29)を制作しました。
『UFOロボ グレンダイザー』の主役デュークフリードの声優は富山敬になりましたが、主題歌「とべ! グレンダイザー」は、作曲編曲菊池俊輔、歌ささきいさおと『ゲッターロボ』のコンビが担当します。
これまでの巨大ロボットアニメは一般の地球人が操縦していましたが、この作品では宇宙人の王子デュークフリードが操縦する設定で舞台が宇宙の大河ドラマ的規模にスケールアップしました。
巨大ロボ「グレンダイザー」は、サポート円盤スペイザーと合体し、宇宙空間でも活躍するUFOロボとなります。
『マジンガーZ』の操縦者として人気の高い兜甲児も準主役として登場し、ボスやボスボロットも出て「マジンガーシリーズ」を引き継ぎました。
『UFOロボ グレンダイザー』は大ヒット。平均視聴率20.9%と高視聴率をキープし全74話続きます。
玩具も好調に推移し、他キャラクターのヒットもあり、ポピーの売上は1976年2月期に146億円を突破、親会社のバンダイのみならずトミーも超え、わずか5年で玩具業界トップに立ちました。
「東映まんがまつり」では、
『UFOロボ グレンダイザー』(1975年12月20日公開)テレビ版第7話
『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』(1976年3月20日公開)劇場用オリジナル作品
『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』(1976年7月18日公開)劇場用オリジナル作品第2弾
『UFOロボ グレンダイザー 赤い夕陽の対決』(1976年12月19日公開)テレビ版第49話
1978年7月、『UFOロボ グレンダイザー』は『Goldorak(ゴルドラック)』と改題され、フランスでテレビ放映が始まります。
当初夏休みだけの予定が、子供たちの心を捉え高い視聴率を獲得し1979年1月まで延長。キャラクターグッズも飛ぶように売れ、主題歌はフランス国内で記録的ヒットとなりました。
この大ヒットを受け、『マジンガーZ』『グレートマジンガー』なども続けて輸出され同じく人気を集めます。
また、フランスのみならずイタリア、シリア、ヨルダン、エジプト、クウェートなどのアラブ諸国、そしてイラクでも大人気となりました。
フジテレビで放映された永井豪とダイナミックプロ原作、東映動画制作のロボットアニメ、日曜19時『マジンガーZ』『グレートマジンガー』『UFOロボ グレンダイザー』、木曜19時『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』は、その後に続く『機動戦士ガンダム』など他社巨大ロボットアニメ作品にも大きな影響を与えて行きます。