備忘:本♯003 話し足りなかった日

話し足りなかった日



イ・ランという韓国のシンガー・ソングライターによるエッセイ。
1980年代後半の生まれで、同世代の違う国のアーティストが書いていると知って興味を持ったし、何よりジャケ買い的な要素で買ってしまった。

30歳後半の日常なのだから、金銭的なことから、セクシャル的なことも包み隠さずに語られている。アーティストの日常なぞ、自分に投影するものなど共感するものなぞあまりないだろう、さぞ華やかな日常を描いているだろうと思ったのだが、一人の30代の女性の等身大の言葉で綴られている。

やはりアーティストだということもあって、一つ一つの言葉が小憎らしいくらい綺麗。さらりとした文体で粘度の高い感情が紡がれて、感情を紡ぐ表現が琴線に触れるという表現で良いのかわからないけど、読んでいてゾワゾワする。(語彙力がなくて失礼。)

韓国以外にも出張して表現者として活動する葛藤だったり、セクシャリティに関して女性として生きることへの不安だったり困難さであったり、自分として日常の物事を考えるきっかけとなる様なことを与えてくれた気がする。

しかし毎回思うけれどエッセイストの人たちはよくこんなに書けるなと感じる。
日々の日常で普段自分はこんなこと考えているかな。
考えているのだろうけれど記憶に残っていないな。
もう少し自分の感情や行動を記録しておきたいなと思う。




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