小屋開け、新展開、軽薄さ
富士山の山小屋スタッフは毎年6月23日頃に全国、果ては全世界から各小屋のオーナーの元に集まる。
登山道のオープンである7月1日に向けて、冬の間(というか9月中旬から翌6月中旬の9ヶ月間)閉ざされていた小屋の掃除、食料の準備、登山道整備などを行う。これを小屋開けという。
一番忙しいのは7月の第三月曜日である海の日からお盆にかけて。
全てのスタッフが小屋開け時に集う訳では無く、大体ピーク時の7割ぐらいの人員で行う。長年来ている主戦級や、シーズン(80日間)を通して働く面子が集まり、忙しくなるにつれ、人員を増やしていく。
7月に入るまでの1週間は客足もほぼ無く(たまに登山道オープンを待たずに登ってくる人もちらほら)、8時起床の18時仕事終わりと穏やかな日々。
今年の富士山は閉山だ。
僕が働いていたのは2015~17年の3シーズンで、富士山の観光地化が進んだ末期。ピーク時のそれは山屋さんに言わすと「ここは山じゃない」と。
それでも寝食を3ヶ月弱共にすると兄弟家族のように仲良くなり、オーナーの人柄もあり、翌年には前年の辛かったことも忘れてまた登る。
3年目の富士山を終え僕は辰野に入り、一屋は3年目を迎えた。
試行錯誤しつつもDIYスタイルのカフェ「1㎡」をオープン、そして今しがた宿泊許可検査に消防の方が来られて週明けには通ると。
一年で一個ずつ仕事増やして10年目で10個。
ライブハウスの名前も「音十」に決まり、ゲストハウスの名前は「古着屋」か「喜多屋」。
音楽のことはほったらかしやのに、手元に置いてあったサックスが値打ちもんで、サックス奏者が明日早速レッスンつけてくれるってことでクバさんに渡すの渋ったり、僕は軽い。
一先ず初回のレッスンは受けて、佐久にある管楽器専門のメンテナンス職人さんのところまでは行こうと思う。
そこから先は未来がまた決める。
軽いから飛んでいける所がある、そう信じて。