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【トドさんすう/インタビュー】「リィーノこどもセラピー」の代表、中西亜弥さん

リハビリテーション病院、児童発達支援センター、児童デイサービス(児童発達支援事業所・放課後等デイサービス)での勤務を経て保健センターや保育所、幼稚園、小中学校への巡回相談にも従事しており、合計500人以上の発達障がいや染色体異常などをもつ子どもたちと作業療法を通じて関わり、個別サポートや職員の方への指導・提案を行っている中西亜弥さん。

この度は中西亜弥さんに、ご自身の教室のご紹介はもちろん、特別支援学級の現状と、今まで4年間にわたり教室内でトドさんすうを有効に活用されてきた例などお話を聞きましたので、ご紹介いたします!


ー まずは自己紹介をお願いします。
リィーノこどもセラピーの「あや」と申しまして、大阪府の池田市というところで、2歳から中3くらいまでのお子さんを対象にした発達が気になるお子さんとか、学校での学習に躓きのあるお子さんのためのセラピー教室をしています。

私自身は作業療法士という国家資格を持って、作業療法の視点から子供たちの発達とか体の使い方とか学習のやり方とかコミュニケーションの取り方などを見させてもらって、セラピーや保護者さん、保育所学校の先生にアドバイスさせてもらったりしています。

<リィーノ>の紹介について

ー ありがとうございます。それでは教室のご紹介、そして開設の背景も可能でしたら、教えてください。

<リィーノ>は2016年に開設をして、その時は個別のセラピーだけをやってたんですけど、2020年から、今の大阪の池田市というところで教室を開いています。<リィーノ>を始めたきっかけは、私自身のきょうだいが発達がゆっくりな、いわゆるグレーゾーンなんです。なので両親があちこちに相談していたみたいなんですけど、欲しい情報が全く得られなくて、毎日不安な日々を過ごしていたそうです。それで学生時代になると、お勉強を学校とかも求めて来るのですけど、頑張ってもテストの点数が取れなかったりとか、課題提出物もすごい汚い字になっちゃって出せなかったりとか、書いても何書いてるか分からないみたいな感じで、「怠けてる」とか、「ふざけてる」とか勘違いされることを横で見てきてました。

そのため、私たち家族と同じように「悩みを抱えてる方が少しでも減ってくるといいな」とか、あとは「今必要な力を育める場所を作れればいいな」と思いました。また、当時から幼稚園から小中学校までの巡回相談員の仕事もしていたんですけど、保護者さんから「小学校入ったら相談するところがあんまりない」ということも聞いてたので、それも開所を決めた大きい理由の1つかなと思っています。

ー 他の療育施設と比べての<リィーノ>ならではの差別点があれば教えてください。

うちは福祉とか医療のどちらにも測れないタイプのお子さんでも来れるように、診断があるなしは関係なく、いつでもご相談していただけるところが一番大きな違いかなと思います。なので、「困ってます」ってなった時にすぐに相談したり、セラピーを受けれることができることが一番大きいかなと思います。

また、小学校高学年くらいから中学生の生徒さんが多いです。相談されるところって、低年齢の幼稚園保育所くらいの年齢層のところが結構多いんですけど、年齢が上がってきても相談受けられるところもポイントなのかなと思います。

ー なるほど!中学生の生徒さんとかも多いんですね!ちなみに中高生以上だと、どういった経緯で来られたお子さんが多いですか?

そうですね。低年齢は幼稚園保育所で先生から、体の使い方が難しいとか、折り紙を折るときに見本と同じように折るのが難しいということで「ちょっと相談行ってみて」と言われたなど、指摘を受けて相談に来られるパターンが多いですね。幼稚園生とかは小学校入学が目前になった時に「学校の勉強についていけるのかな」とか、「授業の中で過ごせるのかな」というのが心配でご相談されることが多いかなと思います。

しかし、小学生以降になると、「学習についていけない」とか「字がガタガタになるんです」というご相談に来られたりとか、あとはコロナ禍以降多いですけど、「学校への息しぶりが始まってどうしたらいいかな」という相談で来られる方も多いですね。また、中学校以降になってやっぱり定期テストの点数が全然取れないとのことで相談に来られる方も多いです。

体の使い方からのアプローチ

ー 要するに、低年齢だと体の使い方、それから小学生及び中学校以降だと、字がガタガタだったり、テストの点数が上がらないとかになるとのことですが、このあたりって結構繋がっている感じですか?

そうですね。私の中では体の使い方とお勉強面は両方一緒になって育っていくものだと思うので、そういった意味で、両方とも繋がってるなと感じています。

ー なるほど。面白いですね。ところで、教室の中ではどのような授業が行われているんですか?

うちの教室は2つクラスがあって、「グループセラピー」と「学習サポート」というクラスがあります。
「グループセラピー」では自分が思った通りに体を動かせられるようになるようにちょっとした運動とかをしながら、思った通りに体を動かす力、手先の器用さ、本当に適した道具を正しく使える力を育みます。学習に必要となるものを見たり聞いたり覚えたりする土台となるところを遊びの活動の中に入れたりとか。あとは社会性の力をつけるための活動を、発達段階で合わせてさせてもらっています。

「学習サポート」クラスの方はお子さんの学び方の特性に合わせて学校の学習をするというところを目指します。そこが難しいお子さんもいらっしゃるので、まずは基礎的な数の概念や、言葉の概念のような土台がどこまでできているかを確認させてもらってから、その子に合う学習方法を提案したり、一緒にやったりしてます。なので、トドさんすうのようなICT機器も使ったりすることもあれば、具体物の方が頭に入りやすい子は具体物でやったりしたりとか、その子その子に合わせて取り組みやすい方を探ってやってます。

ー ご説明ありがとうございます。ところで、それぞれのクラスで行われる学習?または練習として<リィーノ>ならではの、学校との差別点といえば何ですか?

専門性の違いかなと思いますけど、作業療法士は医療の資格になるので、体の構造や脳の機能について学んでいるんですよね。例えば、鉛筆の持ち方が上手くないお子さんがいた場合、手先のことだけを見る方が多いんですけど、実は「手先の不器用さは肩の使い方が上手くないから手が定まってない」とか、運動学や解剖学などの視点から見て「今手先のことをやるよりも、肩や体幹を鍛えるといいよ」といった、どの段階の体の使い方を練習すべきか判断できるのが違うかもしれませんね。

また、学習へのアプローチでは、見る・聞く・体験のどれが一番覚えやすいのかといったお子さんの脳の使い方の特性を見させていただいています。また、学習で使う文房具はどういったものだとより学習がしやすくなるのかといった環境へのアプローチをさせていただくのは、作業療法士の得意分野かなと思います。

ー 要するに、その子その子の苦手なところを見る視点が違うとのことですよね。

そうですね。学校ですと、やはり体の発達とか認知面の発達の観点よりは、学習面に比重が大きいですので、手先が上手くなかったら手先のことを練習させることがあるのですが、やはりそこは見ている視点が違うところはありますね。職種の違いですね。

発達障がいの診断を取り巻く現状

ー 診断を受けるのに時間かかったりと難しい状況だと聞いたことありますが、現状についてお伺いできますか?

病院で診断を受ける福祉のサービスを利用しようと思うと、診断があるなしは市町村によって変わると思うんですけど、何かしら発達検査を受けて、今のお子さんの状態がこうですという証拠がないと福祉のサービスは基本的に使えないですね。病院でリハビリを受けるにしても診断がないと難しかったりというのがあって、ご相談に行くと決断してからも半年から1年くらい、どうしても時間がかかってしまう現状があります。やはり幼稚園、保育所くらいの低年齢のお子さんの場合は相談機関が多くありますが、小学生以上になると相談できるところがものすごく減ってしまうので、さらにお母さんたちは困られることが多くあります。

また、診断を受けると決断しても、お子さん自身の年齢が小3以上くらい高くなると、自分のことが周りの子と違うと感じるようになり、どういう相談を受けたらいいかなとご本人も不安になるかなと思います。

ー なるほど。ところで、診断を受けるには、そもそもなぜそんなに時間がかかるのでしょうか?

相談機関が少ないにも関わらず、相談を受けようとする人数が多く、需要と供給のバランスが合ってないところが多いかなと思います。

ー そういうことですね、ちなみに、先ほど年を重ねると診断を受けに行くことさえもできかねる状況になるとおっしゃいました。診断を受けず、無理に学校についていかざるを得ないお子さんには、どういうアドバイスができますか?

本人は診断は受けたくないけど一般の学校で頑張るってことですね。診断を受ける受けないというのは個人の自由なので、どちらでも全然いいかなと思うんですけど、その子自身が得意なことと、苦手なことを自分の中で知っておいてくれるといいなと感じます。

保護者さんにもよくお伝えするんですけど、発達検査を受けると、点数が出てきて、「その点数が全てではないこと」、また「テストの活用方法はその子の得意なことと、苦手なことを知るためだけのテストであること」だとお伝えすることが多いんです。例えば覚えるのが苦手なお子さんに暗記科目の勉強を頑張らせても、パワーを使い切ってしまうんですよね。どうやったら覚えやすくなるのかなと一緒に考えてあげたりとか、練習の仕方を身につけさせてあげるとか、一般の学校で少しでも過ごしやすくなる方法を探ってあげることが大事だと思います。それで、お友達も含め、そこを気づいてもらったら、ご自身で選んだ道で行きやすくなると思います。

ー なるほど!<リィーノ>ですと、そういうお子さんをサポートするということですよね。

まさにそうです。診断がないお子さんの方が圧倒的に多いので、一般の高校に受験するとか、一般の就職を狙うお子さんたちが多いんですよね。高校とかに行くとサポートしてくれる人はもっと減ってしまうので、困った時にどうするかというのをひたすら練習をさせてもらっています。

トドさんすうとの出会い

ー そういえば、ずいぶん前からトドさんすうを教室でご利用されているとお聞きしたことがありますが、いつから始められたんですか?

コロナ禍があった2020年くらいですかね。

ー それは結構前ですね!ありがとうございます。ところで、開始の背景についてお伺いしてもよろしいですか?

算数の概念が定着していなかったお子さんがとっても多くて、ずっと気軽にできるもの、楽しくて分かりやすく、書く以外の方法で何か子供たちに取り組めないかなと探しているところ、何きっかけで見つけたかまでは覚えていないのですが(笑)とにかく偶然トドさんすうに出会ったような記憶があります。
トドさんすうはデザインも分かりやすく、キャラクターも可愛かったので、当時から算数の概念が定着していないお子さんのためにお世話になっています。

ー どのように利用されていますか?

状況によりますが、小3までの算数の概念の定着が難しいお子さんが多く、上は中学生くらいのお子さんも利用しています。また、低年齢で算数に苦手意識が強いお子さんに、1回50分の授業の1コマで、こちらから課題を選んであげて10〜15分くらい利用させています。

トドさんすうで確認した後に、他のアナログゲームとかプリント教材で色んな算数のルールを確かめることができるので、算数の導入教材として使うことが多いです。また、算数学習以外でも覚えることが苦手なお子さんもLittle Farmを覚える練習の1つとして、すごく使いやすいですね。家に帰ってからも「ご家庭でもこれまたやってみて」とお伝えして、お家でも遊び感覚で取り組んでもらえるようにしております。

Little Farmの画面

ー 効果はどうですか?

算数と聞くだけで「嫌だ〜!算数やらない〜!」って言ってた子が、「こんな可愛いのあるけどやってみる?」とかでトドさんすうを一緒に使ってみると、「トドさんすうならやる!」と言ってくる子がいますね。
やはり、分かりやすいBGMだったり、何より感覚的に操作しやすいので、意味がわからなくても、ゲームやってる感じなので、苦手意識があるお子さんには特にすごく助かってます。

それで、算数への苦手意識が減りますし、算数の導入の時に使うので、後で、「トドさんすうでやったよね〜」的に私から確認しながら、同じようなものをプリントでやることが多いです。なので、トドさんすうで大丈夫になってから、プリントでもやってみるとか。やはり学校だとどうしてもプリントを渡されるので、このように少しずつ苦手意識を減らすツールとしてトドさんすうを使って学習しております。

実際教室でご利用中の様子

保護者さんに伝えたいこと

ー もしあればお願いします!

小学校以降、特に中学生以降になるとテストの点数が気になることも多いと思います。 もちろんプリント学習は大切ですが、ぜひ時間の余裕のあるときに数や形を体感することをしてみてほしいと思います。

たとえば、一般道と高速道路の走る速度の違いを感じてみたり、卵焼きを5等分に分けてもらったり。 自分で数の大きさや形の違いを体感できると、算数・数学の教科としての学習もイメージしやすくなると思います。

毎回体感する内容を考えることは大変ですが、トドさんすうは、そういった実体験を大切にしたゲームがたくさん入っているので、使いやすいと思います。 算数と距離を近づける1つのアイテムとして触れてみられるといいんじゃないかなと思います。

まとめ

以上、リィーノこどもセラピーの「あや」さんのインタビューでした!
あやさん、この度はお忙しい中、インタビューを受けていただきありがとうございました。色々細かいご説明のおかげ様でとっても勉強になりました☺️ありがとうございます!😆

ところで、リィーノこどもセラピーの以下の通り、SNSやウェブサイトなども活発に活動されていて、お子さまに関するご相談等も積極的に承っていらっしゃるそうなので、もし気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!✨



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