断酒レポート
私を救い、私を堕落させた悪魔の水。恨みはないが、感謝もできない。
受診の動機
アルコール依存症の私は、今回、初めて精神科医を受診することとなった。私の飲酒量はビール500。日本酒300。焼酎200を習慣的に飲んでいる。20年くらい飲酒歴があるので、ベテランのアル中というわけだ。
今回の受診は、別に、肝機能がおかしくなったり、親族に勧められたからというわけではなく、自主的に受診を希望した。今の現在の状況を客観的に専門家から指摘を受けてみたかったし、今後の私が迎えうる状態も把握しておきたからだ。では、早速書いていこう。
私が受診したのは、よく晴れた日の午前中の11時だった。事前に電話で予約を取り上記の時間に来院するように指示を受けていた。
受付で予約していた件、アルコール依存症の治療であると告げる。
アルコール依存症であると第三者に言うのは、いささか恥ずかしいものであったが、受付の女性は問題なく対応してくれた。
受付をすませると、アンケートを4枚程渡された。4枚程と聞くと多いように思えるが、15分程で記入、終了。
アンケートの内容は、お酒の量とか問題行動しているか?とか。
アンケート後、読書をして待ってると、ソーシャルワーカーの女性がやってきて、医師の診察の前にいくつか質問をするということで、個室に案内された。
ソーシャルワーカとの対談と質問内容。
案内された個室では患者が扉を開けた手前の椅子に座り、ソーシャルワーカーが少し離れた椅子に座る。ソーシャルワーカーの背後の扉は開放されていて、コロナ対策であると言っていた。先に言いにくいことは、答えなくて良いという配慮もされた。
聞かれる内容は主に。
家族構成。
現住所。
家族の精神的な病歴。
自身の精神的病歴。
アルコールをいつ飲み始めたか?
目標は断酒か?節酒か?
なぜ、受診しようと思ったか?
この病院をどのように知ったか?
質問を、ある程度答えると、上記の内容をカルテにするということで、待合室で待機するように言われる。15分程すると、今度は医師がやってきて、先程と同じように個室に案内され、同じような質問をされる。
アンケートやカルテを参考にして、状況説明と治療方針を提案された。
医者の説明は、今、現在の私のアルコール依存度の状況説明。
飲酒量は断酒を継続していても元の飲酒量に戻ることはない。今後、肝機能なども飲み続ければ、悪くなるだろうというまぁ、当たり前の事実を告げられる。
客観的な事実と現段階の状況判断は大事ですよね。
アルコール依存症の治療方針について。
通院か薬か。断酒会か。
アルコール依存症の治療は大きく分けて3つの柱があり、通院、薬、断酒会なるものが存在するとか。
私は初診なので、ステップ1の状況だろう。
通院は病院に定期的に顔を出し、医師との断酒の約束や知識共有。
お酒を飲むこということの知識や約束を破ってはいけないという罪悪感を利用して摂取量を減らすという手法らしい。
薬はその名の通り薬学療法。病院から処方される薬は現段階3種類。
一つは依存欲求を抑える薬。(医師から、あまり効果が無いとぶっちゃけられた)
二つ目は、体質を強制的に下戸(お酒が飲めない人達)状態にして、酒を飲むと酷いアルコール中毒なる薬らしい。
三つ目は節酒ができるようになる試験薬らしく、データが少なくかつ、あまり芳しい効用は期待できないため薦めないらしい。
現実的に薬で治療するなら二つ目の薬だろうが、私の健康診断の状態と初診ということで、二週間断酒にチャレンジ。通院することで治療していくことになった。最後に節酒は難しく、断酒を薦めるとのことを強調された。
麻薬は駄目絶対!!お酒も薬物と変わらないよな
最後に治療方針が決定したので、自助グループも薦められた。
自助グループというのは、端的に説明すると、個人での断酒は苦しく辛いので、結束して断酒をしようという集まりだ。メリットとしては断酒会に参加している時はお酒を飲まないで済むことと、お酒を止めて健康的になる姿が励みになること、飲酒欲求を抑える個人間だが、アドバイスを聴ける。つまり情報共有がポイントらしい。
大きく分けて、断酒会とAAという二つのグループがあり、断酒会は会費がかかり(2000円~3000円)AAは寄付なのだそうだ。
この会はアポイント不要で遅刻も咎められないが、一つだけ酔っぱらって会に参加しないという不文律があるらしい。
そりゃ、酒を止めようとしてるのに、そんな状況の参加はケンカを売ってるようなものだろうから、当然だろう。
右ストレートでお願いします。まっすぐ行ってお願いします。
自助グループの説明も終わり、次回の通院を予約して会計を済ます。
初診費2060円。ネットの情報では相場は4000円~6000円なので安く感じた。(薬を処方されなかったのと交通費がかからなかったこともあるのだろう)
時間は午後13時。およそ、2時間程の初受診だった。
結論
正直、アンケートで質問に答え、医師とは会話だけで診察が終わり、知識も既知のものも多く。それだけで、2000円は高いと思う方も多いのではないだろうか?
しかし、私は病院への受診はするべきだと思う。
アルコール依存の治療は結論から言えば、自分との闘いだ。そして、もはや、我々アルコール依存者は自分の意思では酒をコントロールできるブレーキが崩壊している。
こうなっちゃうでしょ?
意思で駄目なら、環境を変えるか。飲めない体質になるか。他人との約束くらいしかないのだ。
環境を変える方法は、飲料メーカーが宣伝を流し、スーパー。コンビニでは酒を売りさばく現段階の状況では、入院くらいしか方法がない。現実的に仕事をしている社会人には無理がある。
スーパーの酒販売これは真面目に法律で禁止したほうが良い。
次に飲めない体質にする方法は薬療法だが、副作用のない薬など決して無いという事実から自分から求める人間は少ないのではないだろうか?酒を止めるために断酒したのに副作用で体調が悪くなったら本末転倒だろう。
心理的に薬飲むなら、酒止めないって人は多い気もする。
では、最後に他人との約束。
通院や断酒会だ。おそらく、大多数の患者はこの治療法を選択するのではないか?一番リスクがなく、低コストだからだ。
良くも悪くも、人間は自分との約束はすぐに破るが、他人との約束はなかなか破れない生き物だ。罪悪感や妄想が作用して、その言葉が強く作用するケースも多々ある。これはその心理バイアスを利用しての断酒治療法だと思う。
この人も言ってたような気がする。
まぁ、要するに、つまるところ、一人で断酒しようとして、貴方の意思は、何回負けてきましたか?とういうことだ。一人で無理なら複数でやってみよう。約束や報告するルールがあれば、飲まないでしょ?というのは、理に適ってると言える。
なんにせよ、繰り返しになるが、断酒は、自分との闘いだ。どんな名医も治ろうとする意志がない患者は治せない。
診療内科やアルコール治療科の受診が断酒の助けるになるなら、治ろうとする心があるなら、一度行ってみることをお勧めする。(情報も増えるしね)
いかが、だったらだろうか?もし、アルコール依存症で病院受診を躊躇っている読者がいるなら、これを読んで参考にして頂けると幸いだ。
私も断酒頑張ります。では、またね。
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