なぜ負債比率を高めても、WACCは下がらないのか?
WACC(資本コスト)ってあるやんか。あれ、負債比率上げても、下がらんのやけど、下がるゆう誤解が時々あるから、下がらん理由を直観的に解説するで。
WACCの式見てみよか。
WACC=Kd×(1ー税率)×(D/D+E)+Ke×(E/D+E)
Kd:負債コスト
Ke:株主資本コスト(=期待リターン)
D:負債
E:株主価値(時価)
これ見ると明らかやけど、負債コストと株主資本コストの加重平均になっとるやんな。で、だいたい負債コストって1%とかそんなもんで、株主資本コストは5%とかそんなもんやろ。
しやから、
「『負債の期待リターン < 株主の期待リターン』なのだから、負債の比率を高めれば、加重平均である資本コストが下がる」
ちゅうことになりそうやんか。
せやけど、これちゃうねんで。確かに「負債の期待リターン < 株主の期待リターン」やから、負債の比率が上がれば上がるほど、資本コストが下がるような気がするのも無理はないんやけどな。
実は、負債比率を高くすると、つまり「レバレッジを効かせる」とやな、それを相殺する形で株式の期待リターンが上がってまうんや。
レバレッジを効かせると資本効率も良くなる反面、リターンの変動幅(リスク)も大きくなってしまうやろ。
投資家は、より大きなリスクに対して、より大きなリターンを期待するやんか。
つまり株式の割合が低くなると、その分、株主は大きなリターンを期待するようになるわけやねん。しやから、株式の比率を下げても結果的に、資本コスト全体が低くなることはないんや。
これ「MM定理の第2命題」ゆうんや。
ちなみに、負債比率が上がることで資本コストが下がらない理由を「負債比率が上昇すると、倒産コストが上昇するので、負債コスト自体が上がってしまうから」と解釈するのも誤りやねん。結論はあっとるけど、理由が全然ちやうからな。こうゆうことゆうとる専門家がいたら大声で「ダウトー」ってゆうたらなあかんでーwwwww
負債コストを一定として、株主資本コストだけを変化させて計算してみても、資本コストはほぼ一定となるんや。つまりや、資本コストが下がらない理由は、株主資本コストの変化によるものがほぼ全てで、負債コストの上昇による影響はあったとしても、ごくごく限られたものなんやで。
もちろん、負債コスト自体を頑張って下げれば、それはWACCを下げることにつながるんやで。でも、比率を上げたって、WACCはたいして変わらへんゆうのが今日のお話や。
「そもそも、WACCってなんやねん、ちゅうか、負債コストとか、株主資本コストとか、そんなんゆわれても知らんわー」っちゅう、好奇心旺盛な方は、この本「未来をつくるファイナンス」で勉強するとエエで。財務の前提知識ゼロで読めるのに、むっちゃ丁寧に大事なこと一通り勉強できるんやって。
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