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季節調整値でみると経常黒字は3ヵ月ぶりの増加~2024年7月の国際収支

 4日遅れですみません。9日に公表された2024年7月分の国際収支統計のにつき、季節調整値と原系列の前年同月差に注目しながら月次の推移を確認していきたいと思います。


7月は第一次所得収支の黒字幅が拡大

 7月の経常黒字は季節調整値でみると2.8兆円。3ヵ月ぶりに増加し、2023年10月(2.9兆円)以来の黒字幅となりました。2024年6月(1.8兆円)からの黒字拡大にはすべてが寄与しましたが、最も大きく寄与したのは第一次所得収支の黒字拡大(6月:3.0兆円→7月:3.7兆円)でした。
 原数値の前年同月差(0.4兆円)は前月からプラス幅が拡大。と変わらず。5月の前年同月差(0.8兆円)から縮小しました。貿易収支の前年同月差がマイナスに転じた(6月:0.2兆円→6月:▲0.6兆円)したものの、第一次所得収支の前年同月差がプラスに転じました(6月:▲0.2兆円→7月:0.9兆円)。

輸出、輸入金額ともに前年同月差は拡大

 貿易収支の前年同月差が若干拡大したのは輸出の前年同月差のプラス幅が拡大(6月:5100億円→7月:8365億円)した以上に、輸入のプラス幅が拡大した(6月:2817億円→1兆4265億円)ためです。
 実質輸出を確認すると、7月は5月から2ヵ月連続で増加しています。ただし、前年同月比でみると2.3%減です。実質輸入は前月比、前年同月比ともに2ヵ月連続で増加しました。交易条件(輸出物価÷輸入物価)を確認すると、契約通貨ベース、円ベースともこのところ横ばい圏内であり、実質ベースでの輸出の低迷、輸入の回復が素直に貿易赤字の拡大に結び付いたと考えられます。日本銀行の資料を見ると、実質輸出の低迷は、国別では中国、財別では自動車関連が主因のようです。
 貿易統計で通関輸入金額の前年同月比を確認すると16.6%増と2023年1月以来の2ケタ増加となりました。寄与度の変化をみると輸送用機器がマイナスに転じた(6月:0.0%→7月:▲0.5%)ほかは」プラス寄与。鉱物性燃料(6月:▲0.5%→7月:2.7%)、化学製品(6月:0.2%→7月:2.4%)、電気機器(6月:0.3%→7月:2.2%)の拡大が目立ちます。

証券投資収益の前年同月差が2ヵ月ぶりのプラス

 第一次所得収支の前年同月差が2ヵ月ぶりのプラスに転じたのは、直接投資収益の黒字幅が拡大したこと(6月:395億円→7月:5498億円)、証券投資収益の前年同月差が2ヵ月ぶりにプラスに転じたこと(6月:▲2605億円→7月:3979億円)です。
 証券投資収益の前年同月差がプラスに転じたのは、受取の増加(前年同月差:4766億円)が支払いの増加(同:787億円)を上回ったためのようです。海外からの債券利子の受取が増えています。

サービス収支は2ヵ月連続で前年同月とほぼ同じ

 サービス収支は6月に続いて7月も前年同月とほぼ同じ。旅行収支の前年同月差(6月:1346億円→7月:2262億円)、知的財産権等使用料収支の前年同月差が(6月:269億円→7月:589億円)のプラス幅が拡大し、その他サービス収支(知的財産権等使用料収支を除く)のマイナス幅が拡大(6月:▲2199億円→7月:▲2721億円)しています。
 今日(13日)の日経朝刊では金融サービスの収支に注目していますが、7月も「保険・年金サービス」の前年同月差のマイナス幅が引き続き大きい(6月:▲672億円→7月:▲729億円)です。その他サービス収支の中で、前年同月差のマイナス幅が最大だったのは、「通信・コンピュータ・情報サービス」でした(6月:231億円→7月:▲1248億円)。

#日経COMEMO #NIKKEI

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