外国人主導の延べ宿泊者数の増加~2023年6月の宿泊旅行統計調査
観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2023年6月分が昨日(7月31日)に公表されたので、ポイントをまとめさせていただきました。
2023年6月の延べ宿泊者数は前年同月比36.5%増
2023年5月の延べ宿泊者数は4626万1010人泊であり、前年同月比で36.5%増加しました。2023年5月の33.8%増(速報時は36.2%増)からほぼ横ばいの伸びとなりました。外国人観光客の寄与が26.0ポイントと、5月の22.0ポイント(速報時は22.6ポイント)から高まったのに対し、日本人観光客の寄与は10.4ポイントと4月の11.8ポイント(速報時は13.8ポイント)に比べると低下しました。
1月から6月までの延べ宿泊者数の累計は約2.72億人泊で、2019年の1~6月累計(約2.82億人泊)にはまだ及びませんが、2018年の1~6月累計(2.50億人泊)は超えています。外国人観光客の2023年1~6月累計は4725万人泊であり、2019年1~6月累計の8割まで回復してきました。日本人観光客は2019年1~6月累計にほぼ匹敵しています。
客室稼働率は前年同月に比べて9.0ポイント改善
延べ宿泊者数の回復を受けて、客室稼働率も改善しています。2023年6月の宿泊稼働率は54.2%。前年同月(45.2%)に比べて9.0ポイントの改善です。2019年の水準まであと6ポイント、2016年の水準に比べるとあと3ポイントとなっています。
宿泊施設タイプ別にみると、ほぼコロナ禍前の水準にあるのは旅館とリゾートホテル。旅館の6月の稼働率は33.7%で前年同月に比べて11.0ポイント上昇、リゾートホテルは49.8%と8.5ポイント上昇しています。
一方、宿泊者の半分が利用しているビジネスホテルは68.7%。前年同月に比べれば12.8ポイント上昇してはいるものの、コロナ禍前に比べれば5ポイント程度下回っています。同様に観光需要が中心のシティホテルの5月の稼働率は68.9%で前年同期に比べて19.3ポイント上昇しましたが、2019年には8割前後の稼働率だったことから見ると物足りない感じもします。
大阪、京都の客室稼働率が例年の値に徐々に近づく
1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2023年1~5月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~5月の平均値)と比較すると、先月と同じく、8県(青森県、岩手県、栃木県、新潟県、長野県、徳島県、愛媛県、高知県)が例年の値を上回りました。
一方、例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ例年の値には及びませんが、マイナス幅が徐々に縮小しています。落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス20.7ポイント)、(2)京都府(マイナス15.2ポイント)、(3)鳥取県(マイナス11.9ポイント)、(4)佐賀県(マイナス10.7ポイント)、(5)石川県(マイナス10.1ポイント)となっています。これらの都道府県で今後どこまで客室稼働率が高まっていくかに注目したいですね。
東京都の延べ宿泊者数の伸び、外国人が8割寄与
2023年1~5月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を最後に確認してみましょう。全都道府県がプラスになっています。最大の伸びになったのは沖縄県で108.4%増、つまり2.1倍になりました。
また、大都市や観光地を抱える都道府県では、外国人のプラス寄与が目立ちます。例えば、東京都は延べ宿泊者数が前年に比べて88.3%増加しましたが、うち69.8ポイントが外国人の寄与となっています。
一方、4年前(2019年1~5月合計)と比較すると、5都県(栃木県、東京都、神奈川県、愛媛県、高知県)で延べ宿泊者数が増加となっています。コロナ禍の影響がなかった時期に比べてプラスになる都道府県が今後どこまで広がっていくかにも注目したいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?