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外国人観光客は「コロナ禍前」回復まであとわずか~2023年4月の宿泊旅行統計調査

 観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2023年4月分が昨日(5月31日)に公表されたので、ポイントをまとめさせていただきました。

2023年4月の延べ宿泊者数は前年同月比41.6%増

 2023年4月の延べ宿泊者数は4762万7150人泊であり、前年同月比で41.6%増加しました。2023年3月の51.5%増から若干鈍化しましたが、外国人観光客の寄与が29.3ポイントとなっており、下の図でもわかるように外国人観光客のプラス寄与は最近高まっています。なお、外国人観光客の延べ宿泊者数は1038万2790人泊であり、コロナ前の2019年4月の1128万4480人泊にだいぶ近づいてきました。水際対策の緩和の効果が引き続き出ていることが確認できます。
 一方、日本人観光客の延べ宿泊者数は3月の前年同月比30.2%増から4月は同12.5%増と伸びが鈍化しています。2月、3月と2019年の同月を上回っていたのが、4月は再び下回りました。ただ、来月公表される確報値で上方修正される可能性もあります(3月も上方修正されていました)。

客室稼働率は前年同月に比べて12.2ポイント改善

 延べ宿泊者数の回復を受けて、客室稼働率も上昇を続けています。2023年4月の宿泊稼働率は55.5%。前年同月(43.4%)に比べて12.2ポイントの改善です。2019年以前の水準まであと10ポイント程度に迫っています。
 ビジネスホテルの4月の稼働率は67.7%で前年同期に比べて12.2ポイント上昇し、2019年以前の70%前半まであともう少しです。同様に観光需要が中心のシティホテルの4月の稼働率は68.2%で前年同期に比べて23ポイント上昇しました。
 延べ宿泊者数がコロナ禍前に近づいてきた一方で、客室稼働率が下回っているのは、2019年時点に比べて宿泊施設が増加し、宿泊者数のキャパが大きくなっていることが一因でしょう。ただ、スタッフ不足で宿泊施設をフル稼働しにくくなっている面もあるかもしれませんね。

11県で客室稼働率が例年を上回る

 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2023年1~3月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~3月の平均値)と比較すると、先月から1県増えて、11県(青森県、岩手県、山形県、栃木県、新潟県、長野県、三重県、滋賀県、徳島県、愛媛県、高知県)が例年の値を上回りました。
 一方、例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ落ち込みが大きいです。落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス23.0ポイント)、(2)京都府(マイナス17.5ポイント)、(3)鳥取県(マイナス12.6ポイント)、(4)佐賀県(マイナス12.0ポイント)、(5)石川県(マイナス10.6ポイント)となっています。これらの都道府県で今後どこまで客室稼働率が高まっていくかに注目したいですね。

大都市や観光地を抱える都道府県で外国人のプラス寄与目立つ

 2023年1~3月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を最後に確認してみましょう。全都道府県がプラスになっています。最大の伸びになったのは沖縄県で132.5%増、つまり2.3倍になりました。
 また、大都市や観光地を抱える都道府県では、外国人のプラス寄与が目立ちます。例えば、北海道は延べ宿泊者数が前年に比べて56.9%増加しましたが、うち31.5ポイントが外国人の寄与となっています。
 一方、4年前(2019年1~3月合計)と比較すると、7都県(栃木県、東京都、神奈川県、奈良県、愛媛県、高知県、熊本県)で延べ宿泊者数が増加となっています。コロナ禍の影響がなかった時期に比べてプラスになる都道府県が今後どこまで広がっていくかにも注目したいと思います。

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