就業形態計の現金給与総額の伸び、共通事業所ベースは5%超え~2024年6月の毎月勤労統計
本日(6日)、「毎月勤労統計」(厚生労働省)の2024年6月分の速報値が公表されました。日経電子版は、就業形態計の実質賃金が1.1%増と2年3ヵ月ぶりに増加したことに注目しています。夏の賞与の増加で名目賃金(現金給与総額)が4.5%と高い伸びになったためです。
かねて私のnoteで注目してきた共通事業所ベース(「前年同月分」及び「当月分」ともに集計対象となった事業所のみを集計)でみても、就業形態計の名目賃金の伸びは5.4%とさらに高い結果となっています。
一方で、新聞・雑誌が注目する就業形態計の給与は、パートタイム労働者の労働時間の変動の影響を受けてしまいます。いつものように、一般労働者の所定内給与の伸び率とパートタイム労働者の時給の伸び率からチェックしていきましょう。
一般労働者の所定内給与の伸びは2.7%。一段と3%に近づく
一般労働者の6月の所定内給与の前年同月比伸び率は2.7%。4月の2.3%、5月の2.6%(速報時は2.7%)から拡大しました。一般労働者の所定内給与は、共通事業所ベースでみても2.7%(5月も2.7%)の伸びでした。
一方、パートタイム労働者の時間当たり所定内給与の伸びは4.9%と2024年3月以来の高い伸びでした。
7月の特別給与の伸びにも注目
6月の名目賃金が高い伸びになったのは、前述の通り、ボーナス(特別給与)の伸びが高かったことも一因。就業形態計の特別給与は7.6%増、一般労働者に限定しても7.7%増である。共通事業所ベースでも、就業形態計は9.1%増でしたので、前年と今年のサンプルの違いで高い伸びになっているわけではなさそうです。
一方、前年の2023年の夏の特別給与は6月の就業形態計が3.5%増(一般労働者は4.3%増)、7月が0.6%増(同1.8%増)でした。今年度は早く(6月に)ボーナスを支給しようと考えた企業がいたことで、6月の特別給与の伸びや名目賃金全体の伸びが高くなった可能性があります。7月の特別給与の伸びも要注目です(6月の速報値が確報でどれだけ修正されるかも)。
6月は再び所定内労働時間減少したが、土日の数が影響か?
労働時間は再び労働時間が前年同月比減少となりました。以下の表で示した総実労働時間だけでなく、所定内労働時間も減少(就業形態計2.8%減、一般2.7%減)しました。
業種別でみても、すべての業種で減少しています。出勤日数も同様に減っています。日経記事のTHINKコメントにあるような労働時間規制の影響もあるのかもしれませんが、単純に土日の日数をみると、2023年は8回なのに対し、2024年は10回でした。この影響も出ているのではないでしょうか?