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日銀と民間の経済見通しの比較~改定幅・方向はほぼ同じ

 本日(7月21日)、日本銀行が金融政策決定会合を終え、大規模な金融緩和策の維持を決めるとともに、新たな実質GDP成長率と物価の見通しを発表しました。日経電子版では、4月の決定会合で1.9%としていた2022年度の消費者物価上昇率見通しが「消費増税が影響した14年度を除くと比較可能な03年度以降で初めて」2%台に乗ったことを報じています。

 私は、決定会合で新しい見通しが出されるたびに、民間エコノミストの見通し(ESPフォーキャスト集計)や政府経済見通しと比較するようにしています。昨年は7月6日には公表されていた政府経済見通しの年央改定(内閣府年央試算)がまだ公表されていないので(参議院選の影響?)、取り急ぎ、日銀と民間の比較をしてみましょう。

 まずは消費者物価上昇率。日銀は2022年度の消費者物価上昇率の見通しを4月に比べて0.4ポイント上方修正しています。一方、民間は7月12日に公表されたESPフォーキャスト集計によると2.11%であり、3ヵ月前の集計(4月12日)の1.64%から0.47ポイント上方修正されました。日銀も民間も上方修正してますが、その幅がほとんど変わりがありません。

 下のグラフからわかるように、日銀の見通しは民間より高めな傾向がありますが、それも変わりないです。2023年度についても民間1.07%に対し、日銀は1.4%と民間に比べれば高め見通しです。

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 実質GDP成長率の見通しはどうでしょうか?日銀は2022年度の見通しを4月に比べて0.5ポイント下方修正しています(4月:2.9%→7月:2.4%)。一方、民間は7月12日に公表されたESPフォーキャスト集計によると2%であり、3ヵ月前の集計の2.44%から0.44ポイント下方修正されました。日銀も民間も下方修正してますが、その幅は消費者物価上昇率とほとんど変わりがありません。

 消費者物価と同様に、日銀の見通しは民間より高めな傾向があります。2023年度についても民間1.42%に対し、日銀は2.0%と民間に比べれば高め見通しです。

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 経済成長率が下方修正される一方で消費者物価上昇率は上方修正されているということで、ともに景気減速を見込みつつ、当面はコストプッシュインフレを懸念していることがうかがえます。金融政策を変える状況にはないということなのでしょうね?

#日経COMEMO #NIKKEI


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