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前年同期比で見れば2四半期連続のマイナス成長~2024年4-6月期のGDP1次速報

 本日(15日)、内閣府は2024年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値を公表しましあ。日経電子版は季節調整済み前期比の動きに注目し、2四半期ぶりのプラス成長となったと報じています。一方、前年同期比でみると、実質GDPは2四半期連続のマイナス成長です。マイナス幅も1~3月期とほぼ変わらず、日本経済の弱含み傾向に変わりはありません。


プラス寄与は公的需要のみ

 2024年4~6月期の実質GDPの前年同期比成長率は▲0.8%。1~3月期の▲0.9%から0.1ポイント改善しましたが、2四半期連続のマイナスです。公的需要が3四半期ぶりにプラス寄与(0.2%)になったものの民間需要(▲0.3%)、純輸出(▲0.7%)がマイナス寄与となりました。

 前期(1~3月)と今期の民間需要の実質GDP前年同期比成長率への寄与度の変化を、さらに細かくみたのが下の表です(小数点第2位以下の数値の影響で下記の合計と民間需要の合計にはズレが生じています)。
 前期、民間需要を大きく押し下げた民間消費のマイナス寄与が急縮小していますが、残念ながら2023年7-9月期以来のマイナスが続いています。上記の記事のコメントにもあるように、民間在庫の寄与のマイナス幅が拡大しているのは在庫調整が進んでいるとも読めるのですが、「法人企業統計」(財務省)の情報が反映できていないので2次速報を要注目です(民間設備も同様)。
 純輸出がマイナスになったのは2020年10-12月期以来、輸出が前年同期に比べて減少したためです(寄与度は▲0.1%)。一方で輸入が2023年1-3月期以来の増加となり(輸入は増えるとマイナス寄与になるため、寄与度は▲0.6%)、純輸出が比較的大きなマイナス寄与になってしまいました。

       1~3月  4~6月
民間消費   ▲1.0%   ▲0.1%
民間住宅   ▲0.1%   ▲0.1%
民間設備   ▲0.1%    0.4%
民間在庫   ▲0.3%   ▲0.5%

耐久財消費のマイナス幅は縮小

 GDP統計速報値では、耐久財、サービスなど財別にどんな消費が実質GDP前年同期比成長率に寄与しているのかがわかるデータも公表されています(下図)。1~3月期からの変化に注目すると、耐久財のマイナス寄与が縮小(GDPへの寄与は、1-3月:▲0.5%→4-6月:▲0.1%)。耐久財の代表選手は自動車。品質不正問題による自動車の生産・出荷停止の影響が残っているようです。
 サービスは2021年4~6月からプラス寄与が続いていますが、下記に示したように国内家計消費にはインバウンド需要が含まれている影響もあると思われます。

 なお、上図は民間消費(民間最終消費支出)ではなく、国内家計最終消費支出の動きを見ています。民間消費は、国内家計最終消費支出から①海外からの観光客の消費(居住者家計の海外での直接購入)を引いて、②日本人の海外での消費(非居住者家計の国内での直接購入)を加えています。
 4-6月期は民間消費の前年同期比寄与度は▲0.1%ですが、国内家計最終消費支出の寄与度はプラス0.2%です。ここから引かれる①の寄与(▲0.3%)が大きいため、民間消費はマイナスになっています。
 国内家計最終消費は、日本人、外国人を問わず国内で消費された金額を計上していますので、ビジネス的にはこちらの方が重要かもしれません。
 なお、①は同額が輸出に加えられ、②は同額が輸入に加えられるので、①、②の値がGDPの金額に影響を与えることはありません。

名目GDPは600兆円乗せだけど…

 実質GDPの前年同期比成長率がマイナスになった一方で、名目GDPの前年同期比成長率は2.1%と減速しつつも高い伸びとなっています。GDPデフレーターの変化に示される物価上昇が寄与しています。この一部が賃金に波及しつつあると思われます。
 高い名目成長率は、政府の税収にも好影響が出ています(私たちからするとインフレ税)。岸田首相が総裁選不出馬を表明しましたので、次期総裁には是非とも減税を検討してもらいたいものです。
 なお、上記の日経記事のコメントにあるように、4-6月期の名目GDPは季節調整値年率換算で600兆円を超えました(607.9兆円)。しかし、実際の4-6月期の名目GDPはこの4分の1程度です(名目原系列は149.5兆円)。また、アベノミクスの600兆円とは基準が異なりますので、改めてご注意を!!

#日経COMEMO #NIKKEI

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