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一般サービス物価上昇率が昨年6月以来の2%割れ~2024年7月の消費者物価

 本日(23日)、2024年7月の消費者物価が公表されました。日経電子版は、コア指数と呼ばれる「生鮮食品を除く総合」の上昇率がエネルギー価格の押し上げで高まったことを報じています。ただ、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」がいったん終わったことでエネルギー価格の押し上げが高まることは事前にわかっていたこと。今月のニュースは、一般サービス物価上昇率が2%を割ったことではないでしょうか?


コア指数以外の上昇率は、横ばいか縮小

 今月は消費者物価(総合)の前年同月比上昇率は2.8%と6月と変わらずでしたが、日銀版コアと呼ばれる「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は1.9%(6月は2.2%)、米国版コアとも呼ばれる「食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」は1.6%(6月は1.9%)とそれぞれ伸び率を縮小させています。日銀版コア、米国版コアともに6月はいったん上昇率を高めたように見えたのですが今月は縮小トレンドに戻ったようです。
 コア指数との動きの違いは、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の終了が主因。6月の消費者物価指数の資料には、この事業が総合指数上昇率を0.25ポイント抑制していると書かれてますが、7月にはその記述がありません。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合は2022年9月以来の2%割れ

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合の上昇率の寄与度分解をした以下のグラフを見ると、生鮮食品と外食を除く食料、一般サービスの寄与がじわじわ縮小してきていることがわかります。ともに昨年前半には、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の上昇率を大きく高めた存在でした。

一般サービス物価の上昇率縮小の主因は「宿泊料」「通信料」

 最後に一般サービス物価の上昇率の内訳を確認しましょう。6月と比べると宿泊料の寄与縮小が顕著(6月:0.53%→7月:0.31%)です。また、6月まで0.3~0.4%押し上げていた通信料(携帯電話)の寄与も顕著に縮小しています。
 宿泊料は、6月には寄与を高め、インバウンド需要の高まりが追い風になっているかと思ったのですが、観光需要が高まる7月に伸びが縮小しているのは謎です。引き続き、注目していきたいと思います。
 一方、特殊要因(詳しくは下記のnote)で高いプラス寄与を続ける外国パック旅行費(7月は0.42%の寄与)。来年1月にはこのプラス寄与の縮小が見込まれます。注意したいですね。

#日経COMEMO #NIKKEI

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