チケットノルマ制度の問題点②

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前回の記事の続き

・チケット代が高い(設定できない)
・ノルマ以上に販売してもほとんどバックされない。
・集客責任がバンドに全てふりかかっている

の3点と+αについて書きたいと思います。


チケット代が高い


ライブのチケット代は日時、場所によってさまざまですが、私が経験した相場はドリンク代込みで2000円~3000円でした。

サービスやモノに支払う金額が高いかどうかは人それぞれの基準ではありますが、私は現時点でライブハウスで行われているライブとして、お客さんにとってもバンドにとっても2000円~3000円は高いと感じています。

その理由は、店内環境が悪いからです。


私の活動経験上という話になってしまいはしますが、
多くのライブハウスは喫煙可能になっており、店内の空気がよくありません。

分煙をして会場内を禁煙としているライブハウスもありますが、
入り口や通路を喫煙所として、煙たいところを通らざるを得ないことも多く、またもともと喫煙可としていた頃の名残で会場内がたばこ臭いこともよくあります。

前回の記事では、チケットを売る相手が殆ど自分の身近な人になってしまうことについて書きましたが、
私の友達は非喫煙者の方が多く、嫌煙家の方も結構います。

そういった方を気軽に呼べるでしょうか?

それだけではなく、多くのライブハウスの会場設備は古く、埃っぽくかび臭かったり、場所によっては壊れかけていたりする会場もあります。トイレも汚いです

また、出されるドリンクやフードの質が低いです。
フード販売自体ない事もありますが、あったとしてもコンビニで100円程度で買える小袋のスナック菓子が、300円とか500円とかで販売されています。

そして一番劣悪だと感じるのが、肝心のミュージシャンの商売道具ともいうべき楽器やアンプの状態がひどく悪いことが大変多いです。

私がバンド活動していた際は、アンプなどのトラブルに見舞われたこともありますし、
私はドラマーですが、経験上ドラムのコンディションが良かった事は記憶では一度としてありませんでした。

その様な環境の会場の30分程度のライブに、お客さんは2000円~3000円のチケットと交通費を支払わなくてはならず、バンド側はそういったライブに呼ばなくてはなりません。

全てのライブハウスが上記のような状態に当てはまるとは勿論思っていませんが、演奏側としてもお客側としても気持ちがよかったライブハウスはほとんど思い当たりません。

チケット代について

「そんな環境でのライブになってしまうので、チケット代を安くしてあげたい!」

もしくは、自分たちの活動状況を考え

「駆け出しなのでとりあえず聞きに来てほしい!」

という思いから、チケット代を割引したいと考えたりもしますが、
一連の投稿でお伝えしているように、チケットノルマ制度によるライブではチケット代があらかじめ決まっており変える事が出来ません。

正確には、チケット料金をくるお客さんごとに設定しようと思えばできないこともないのですが、いずれにしてもノルマ料金が変わることはありません。

「安くしてたくさん売れば良いではないか。」

と思うかもしれませんが、前の記事で書いたとおり告知への反応自体が良くない為、安くすれば集客が簡単かと言われるとそう簡単にはいかないのです。

ノルマに追われ続ける弊害

経済的に余裕のないバンドがノルマを課せられ続け、常にノルマに追われる状態にあると、活動目的が音楽的なものではなく、金銭的な動機(人集め)にすり替わっていきます。

そういったバンドは過剰な演出を売りにしようとしたり、奇抜な衣装や化粧など外的要因で注目を集めて売れようとしたり、そのバンドが大切にしていきたいはずのもの以外で勝負しようとし始めます。

過剰な演出や奇抜な衣装などが悪いといいたいわけではありませんし、それが自分たちのアーティスト性、芸術性からくる純粋なものでお客さんを喜ばせたいものであるならば大いにやっていただきたいです。

ですが、ノルマが苦しくなり集客をしなければという焦りが募った結果、
自分たちはなぜ音楽をしたいのか、聞いてくれる人に何を届けたいのか、自分たちが絶対に変えたくない思いは何かということを置いてけぼりになり、安易な客寄せに走ってしまうと考えていますし、そう感じたバンドを何度か見かけたことがあります。

ノルマ以上に販売してもほとんどバックされない

ノルマチケットは売り切るのも大変なのですが、その大変なノルマを乗り越えた先にも困難が待ち受けています。
それは、バック(ノルマ以上のチケット売り上げの分配)が少ないという点です。

ライブハウスによりバックする割合が異なりますが、私の活動していた頃の相場は50%でした。

つまり、2000円×15枚ノルマでライブを行った場合、頑張って16枚のチケットを売ってやっとバンドの収入が1000円です。
バンド全体で1000円なので、4人編成なら一人250円です。

山手線の初乗り料金(最低料金)が130円ですので、ライブハウスまで徒歩や自転車などでない限り、大抵の往復の交通費分すら稼げていません。

また、以前書いたお金の話をご参考頂きたいのですが、
ライブまでにかかるお金は一人あたりリハーサル(4回分)だけでも交通費1000円とすると約12000円くらいかかっています。
もっと交通費が安いところで仮に往復500円だとしても、リハーサル代は10000円です。

では往復の交通費を500円として一括計算するとして、
ライブまでにかかったお金を相殺するのに追加で必要なチケット販売枚数を計算しますと、

{リハーサル代(4回)10000円+ライブハウスまでの交通費500円}÷250円=42枚

42枚です。

つまり、1バンド57枚販売して収支0です。

プラスで稼ぐとなったら、58枚以上です。

バック100%というライブハウスも増えてきているそうですが、それでもノルマがある限り稼ぐためには37枚以上のチケット販売が必要です。

これは真っ当な音楽ビジネスなのでしょうか?

集客はバンドが行う

稼ぐとなると最低37~58枚の販売が必要なチケットですが、
集客活動をライブハウス側が行ってくれることはありません。

関係者や一部のバンドさんは

「HPやTwitterなどにちゃんと載せている!」

と思う方がもしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、
ライブハウスのHPやSNSのPV数や問い合わせ数はどれほどあるのでしょうか?

HPやTwitterに載せるだけで集客が望めれば誰も苦労はしませんが、
自信をもって集客している、できているといえるライブハウスさんがいらっしゃいましたら、ご連絡いただきたいです。
どんなやり方をしているのか是非ご参考にしたいと思います。




これで一通りチケットノルマの問題点について書いていきました。
いかがでしたでしょうか。

私がバンド活動していた期間は大体2011年~2015年辺りなので、
3年経ってこちらに書いた状況が変わっている可能性は否定できませんが、
私の知り合いのバンドの多くは活動報告や告知がしばらく滞っているので、ライブハウス周辺の大きな環境改善はなされていないと思わざるを得ません。


今後もライブハウスに関することや、バンド以外のミュージシャンの活動状況の話などを書いていきたいと思っています。

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