おんちゃん

タクシー運転手のおんちゃんと喋るのが実は好きだったりする。
たまに乗った時「このおんちゃん喋ってくれそうだな」って時は、世間話を入口に声をかけてみる。
そうすると、たいていのおんちゃんは声を弾ませて話に付き合ってくれる。「この辺りに住んでんの?」「仕事?」「この後どこまで行くの?」などなど。とりあえず探りを入れてくれるのがとっても嬉しい。

中には自分からマシンガントークを仕掛けてくるおんちゃんもいる。
そういうおんちゃんは情報通で、たいがい政治話が大好き。質は置いといて、世の中のことをたくさん知っているから勉強になる。まじ大好き。

中には無口なおんちゃんもいる。
そういう時は、目的地に近くなったら一声かけてみる。「今日はお客さん多いですか?」「今の時間は車少ないですね〜」など。そうするとたいてい声がワントーン上がって返事が返ってくるから面白い。こういうタイプもたまらない。

今日の仕事中、時間の都合でタクシーに乗った。一見コワモテなおんちゃんだったけど、「こんな暑さ尋常じゃないよね〜」とおっとりした声で話しかけてくれた。意外とおしゃべりなのかも!と全私が歓喜した。

そうしておしゃべりを楽しんでいると、上司から電話がかかってきた。おんちゃんに「話の途中でごめんなさい」と言って電話に出た。

まぁ当たり前だけど、おんちゃん私の話を聞いていた。「大丈夫?何かあったの?」と一言。「大丈夫です。ただの問い合わせなんで」。とりあえずそう答えた。

ただ私、この日仕事でまぁまぁ大きいミスをしていて、気分が落ち込んでいた。だからついつい「でもさっき結構ヤバメのミスしちゃったんですよね」って、初対面なのに打ち明けてしまった。

そうしたら「俺はよくわかんねぇけどよ、お嬢ちゃんならなんとかなるよ」。そう言ってくれた。
たぶん根拠なんてないし、私のことをガチで1ミリも知らないはずだし、セールストークかもしれないけど、沈んでいた私の心におんちゃんの一言は味噌汁のように染みた。

タクシーのおんちゃんとの出会いがこの世で一番「一期一会」という言葉が似合うと思う(異論は認める)。
ありがとう、おんちゃん。


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