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「視角の訪灯〜灯台のアングル探し〜」

灯台訪問の魅力をお伝えする「訪灯シリーズ」。今回は「灯台のアングル探し」のコツをご紹介します。この記事でいう「アングル」とは「灯台の眺め」くらいの意味です。

 「訪灯シリーズ」はこちらでまとめて読めます
 有料マガジン(500円):灯台訪問を楽しむための六ヶ条

灯台を実際に訪れる「灯台訪問」。観光目的であれライフワークであれ、灯台を風光明媚な美しい風景とともに鑑賞するのは旅の思い出の一つです。

ただ「灯台に行って何するの?」「そんなに灯台を眺めて楽しいの?」と感じる人もいるでしょう。確かに灯台を訪れて何をしているのか具体的にはイメージしづらいのも分かります。

そんな訳で今回は「灯台のアングル探し」に絞って楽しみ方をお伝えします。灯台の魅力は「多様性」でなので、是非とも色々な場所から眺めてみてください。

※「灯台のアングル探し」は起伏のある灯台周辺を動き回りますので、くれぐれも「動きやすい服装」「歩きやすい靴」で、周囲の人々のご迷惑にならないように行いましょう!


◆灯台は決して動かない

例えば京都の清水寺は修学旅行の定番観光地ですが、訪れる多くの人が清水の舞台を京都の街並みが背景となるアングルからの撮影を行いますよね。恐らく「清水寺といえばこのアングル」というのがあまりにメディアで取り上げられて定番化しているのでしょう。

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建物によって見栄えのするアングルというのは存在するので、それは決して悪いことではありません。ただ灯台は特定のアングルからだけ眺めるよりも360°余す所なく眺めて「変化」を楽しむことをオススメしたいです。

そのため、前提として「灯台は決して動かない」ということを認識した上で灯台訪問します。何を当たり前のことと思うかもしれませんが、意外と大事なことです。

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灯台は自分からは決して動かない。だけど必ずそこにいる存在。だから行けば必ず会えるし、人々に安定と安心をもたらす存在です。「今日は天候が悪いので見えません」とか「雨が降ってきたので遅れます」ということがありません。

そんな灯台は海上から対面するのが本来の向き合うカタチかもしれませんが、別に横からでも後ろからでも眺めても良いのが現代の灯台訪問です。ただそのためには「自分が動く」しかありません。

灯台を満喫しようと思うなら「自分が動く」。この意識をまずは持ちましょう。

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◆「灯台のアングル探し = 距離 × 方位 × 角度」

灯台を眺める場合、灯台を中心に「①距離〈遠近〉」×「②方位〈方角〉」×「③角度〈高低〉」の3つの掛け合わせです。

灯台のアングル探し

もう少し踏み込んで言うと、灯台のアングルの「多様性」には、更に「季節」×「天候」×「時間」という要素も加わるのですが、自分自身ではコントロールが難しい要素ですし、説明が複雑になるので今回は割愛します。灯台訪問をする人は「距離」×「方位」×「角度」の3要素に絞って考えるのが良いと思います。

この3要素を調整しながら自分ならではの「灯台の表情」を探すのが灯台訪問での醍醐味であり、楽しみでもあります。灯台は訪問する度に表情が変わっていくので、一期一会の気持ちを持って訪問しましょう。

慣れていない人には「距離」の調整は結構ハードルが高いので、「方位」か「角度」を変えることを意識するといいと思います。「方位」が一番お手軽で、まず灯台の足下に到着したら出来る限り灯台の周りをウロウロして、灯台がどんな風に見えるのかをチェックしてみるのです。

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その中で自然と「角度」が変わることもあれば、自分で意識的に屈んでみたり、塀に登ってみたりするとよりメリハリのある変化に気づくことができます(夢中になり過ぎず、くれぐれも自分と周囲の安全を最優先に配慮のある行動を心掛けましょう!)。

その日の灯台訪問で「自分のベストアングル」を発見すれば、漫然と灯台を眺めて帰る時より充実感は遥かに高くなります。そして旅の想い出としても強く記憶にも刻まれることでしょう(写真などを撮ればなおヨシです)。

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◆「灯台アングル探し」の副次効果

このような「灯台のアングル探し」には前述の楽しみ以外にも、幾つか副次効果があります。

【副次効果①:無理をせず「運動」できる】
アングルを探すために動き回ることになるので自然と運動を行うことになります。ここでのポイントは「運動しよう」と強く意識することなく、灯台のアングルを探すことで"自然と運動になる"という点です。別のことに関心が向いているので、無理なく身体を動かせて一粒で二度美味しいです。

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しかも灯台周辺は起伏がある場合が多いので、それなりに適度な負荷をかけられます。山中の灯台や「距離」も変えると相当ハードな運動量になります。
※ちなみに記者の場合、1基の灯台訪問で大体1〜2時間6灯台周辺をウロウロします(「さっき見つけたアングルを今の空模様で撮りたい」などは灯台訪問あるある)

肉体に及ぼす効果は勿論のこと、天気が良い日に自然の潮風や波音を聴きながらの運動は清々しく精神衛生上も良くなること請け合いです。

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【副次効果②:多面的に物事を捉えるトレーニング】
ビジネスにも活きるスキルとしては「多面的に物事を捉える」ことの習慣化に繋がります。

「より良いアングルを探す」というのは"こういう見方もあるのではないか"とか"あの高台からの眺めは良さそう"という仮説をたてて実際に検証する、というビジネスプロセスそのもの。

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他の建造物は、住むことや権威を示すことが主な目的であるため、灯台のようにアングルを探す際の「基準」を定めて周囲を回遊することが難しいです。

その点、"塔形"でかつ"遠方から見つけるため"に立っている灯台ならば遠距離でも灯台を見失うことがないため、「アングル探し」は灯台ならではの楽しみ方といえます。

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そんな訳で今回は「灯台のアングル探し」という楽しみ方をご紹介しました。まずは「方位〈方角〉」と「角度〈高低〉」を自分で意識しながら、その灯台の「マイベストアングル」を探してみてください。というか、シンプルに色んな灯台の表情を楽しんで頂きたいです!

※灯台のアングル探しは起伏のある灯台周辺を動き回りますので、くれぐれも「動きやすい服装」「歩きやすい靴」で、周囲の人々のご迷惑にならないように行いましょう!

村上 記

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ちょっとした心構えの違いで灯台訪問が楽しい旅の思い出の一つに変わりますので、灯台を訪れる機会に思い出して頂ければ嬉しいです。

これまで200基以上の灯台訪問経験のある記者が、実践できる灯台訪問の「楽しみ方」をご紹介します

年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台を訪れる魅力などをお伝えするプロジェクト。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う方々の想いを大事にしていきたいです。