ある大学受験記(純浪のち早稲田文構仮面)
はしがき 混沌の中にあった受験生時代が終わって早くも半年が過ぎ去り、往年の記憶は急速に薄れつつある。いつまでも過去に執着するのは満足した“今”を送れていない証左、と一般には言うから、これは至極健全なことなのかもしれない。しかし、私は、自らの若さを費やして東大に挑んだ苦節の跡を確乎たるかたちで残しておきたいと思った。これは、進路が定まっているであろう1年後、あるいはもっと先になってから自分で読み返すためであるし、知己らと拙文を肴に語らうためでもある。したがって、他人様に広く読ん