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常滑と私

常滑の紹介が途中ですが、少し自分のことについて語らせていただきます。

今でこそ大きな声で常滑出身と名乗っていますが、実はほとんど常滑で暮らしたことがありません。
転勤族の父に連れられ各地を転々とした私にとって、どこが故郷かを答えるのは、非常に難しい問題です。4歳から12歳まで過ごした香港は第二の故郷といえますが、香港人でない私にとっては、やはりどこかで借り暮らしのような気持ちでした。
そんな私が日本に一時帰国して唯一帰ることのできる場所が、父の故郷・常滑でした。
一方、物心ついたときすでに香港にいた私にとって、日本にいたときの記憶はありません。飛行機で訪れた日本は、初めて出会った異国でもありました。だから、常滑への帰郷は、初めての「日本体験」でした。

真っ黒い家々。ずらりと並ぶ土管と焼酎瓶。遠くからでもよく見える祖父の窯の煙突。
小川で見つけた蟹。駄菓子屋のおばあちゃんからもらったお菓子のおまけ。
ひっそりと佇む菩提寺、毎年恒例のお墓参り。ジリジリとした日差しと鳴り止まない蝉の声。

今でも夏に常滑に行くと、子供の頃、夏休みに常滑で過ごした日々を鮮明に思い出します。

年に1-2回だけ訪れることのできる、とくべつな故郷、今は亡き大好きな祖父母や曽祖父が温かく迎えてくれた場所。だからこそ、その記憶は心の奥底に深く刻まれ、いま、家族みんなで過ごした証が色濃く残るこの常滑が、とても新鮮で、とても大切なものに思えるのでしょう。

本当は私は常滑出身とはいえないかもしれません。ですが、私なりにこの街を誇り、愛していこうと決めました。だから今は堂々と、常滑出身と名乗ることにしています。

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